【Review】Techivation「Full Bundle」レビュー(M-Clarity, M-Loudener, M-Loudener, T-De-Esser Pro, T-Imager, T-Puncher, T-Warmer, T-Exciter, T-Clarity, T-Compressor全製品のレビュー、おすすめのプラグイン・評価等)

【Review】Techivation「Full Bundle」レビュー(M-Clarity, M-Loudener, M-Loudener, T-De-Esser Pro, T-Imager, T-Puncher, T-Warmer, T-Exciter, T-Clarity, T-Compressor全製品のレビュー、おすすめ・評価等)

製品情報



Techivationのプラグインをバンドルしたパワフルな製品で、オーディオのクオリティとワークフローをまったく新しいレベルへと導きます。


には以下の製品が収録されています。
  • M-Clarity
  • M-Loudener
  • M-Loudener
  • T-De-Esser Pro
  • T-Imager
  • T-Puncher
  • T-Warmer
  • T-Exciter
  • T-Clarity
  • T-Compressor

それぞれのプラグインを一言でいうならば以下のようになります。
  • M-Clarity レゾナンスサプレッサー
  • M-Loudener ラウドネス強化プラグイン
  • T-De-Esser Pro 周波数帯域ディエッサープラグイン
  • T-Imager MS処理によるステレオイメージャー
  • T-Puncher トランジェントシェイパー
  • T-Warmer サチュレーションプラグイン
  • T-Exciter エキサイタープラグイン
  • T-Clarity スレッショルドによるマルチバンドコンプレッサー
  • T-Compressor シリアルコンプレッサー

Techivation製品を安く購入するポイント


セールが不定期に行われます。そこを狙っていくのも良いかもしれませんが、製品によって割引率が価格帯が異なるので、もともとの価格に応じて傾斜割引されていることも多いです。そのため、そこまで大きく割引されてない製品もあります。また、シリーズごと(詳細は不明)にクロスグレードのようなものが用意されているようで、何か製品を所有していると追加割引されることがあります。ログインして価格をチェックすると思った以上に安くなっていることもあります。



Techivationの無料製品について

Techivationは現在3製品の無料配布を行っています。

T-Puncher Free、T-De-esser(こちらの上位版?がPlusになります) とT-De-esser Plusです。どれも製品の機能制限版といった位置づけですが、単なるトライアルではなく、一定の使い道があるプラグインといえます。T-Puncher Freeはワンノブ系パンチ増量系プラグインT-De-esser Plusは周波数帯域をざっくり選べるディエッサープラグイン。

その他、全ての製品にはトライアルが用意されているので無料で動作を確認してから購入することができるようになっています。

Techivationプラグインの中でおすすめのプラグイン


万人にお勧めできるプラグインというものはありません。ジャンルによっては全く使わないものもあるはずですので。筆者は放送系のエンジニアリングを専門としており、また、どちらかというと所謂商業音楽よりも(請け負うことはありますが)芸術音楽やジャズを専門としているのでそのバイアスがかかっていることを留意していただけると良いかと思います。プラグインの業界を客観的に捉えた上で、業務用ツールとして特に汎用性と重要度の高そうなプラグインとしてはM-ClarityとT-De-Esser Proを上げても良いかもしれません。趣味の方からプロユースまで幅広い層の方の支持を集めそうなプラグインとしてはT-Puncherがあげられそうです。T-Imagerは一見地味かもしれませんが個人的には自然なコントロールの微調整ができるという点で大変好みです。 好きな人には刺さるといったプラグインはT-Warmer、T-Exciterですね。音色を微調整で作るプラグインではないので好みが合わないと合わないかもしれません。しかし、サウンドはなかなかユニークなので、刺さる人には刺さります。ここで挙げなかったプラグインが悪いというわけではないので注意してください。


初心者の人でも使えるプラグインはあるのか

Techivationのプラグインにはメーターは用意されていますが、所謂EQで用意されているようなビジュアライザーが付いていません。これは耳で確認して欲しいというコンセプトによるものであり、メーカーによる意図的なものです。そのため、このコンセプトに共感できるかどうかが実は大きな分岐点にもなっているのです。(ここではT-Clarityのディスクリプションを引用しています)
ビジュアルは聴覚を乱し、デジタル・グラフは数値を設定する際の意思決定に影響を与える可能性が非常に高いです。T-Clarityは、プラグインの設定を微調整する際に、視覚的にどのように変化するかよりも、素晴らしい出力サウンドに集中できるようサポートします。


そのため、一見するととっつきにくい印象があるかもしれませんが、動的なメーターはきちんと用意されているので、慣れてくるとむしろ使いやすさも感じるプラグインです。


T-Warmer、T-Exciter、T-Compressor、T-Clarityあたりはそこまで知識がなくとも通常のプラグインを使ったことがある人であれば、すんなりと慣れていくように思います。上記は他の一般的なプラグインと操作が類似しているため非常に使いやすさがあります。T-Imager、T-Puncherは若干機能のオプションが上記プラグインと比較して、機能や他のプラグインの操作と比較して特殊性がやや増えているプラグインとも言えますが、汎用性が高く、認識しやすいこともあり、より多くの層の関心を集めるボリュームゾーンかもしれません。

一方で、M-Clarityや M-Loudener、T-De-Esser Proは特に非常に奥が深く、こだわり始めると沼にはまってしまいそうなプラグインでもあります。動作も一般的な同カテゴリーのプラグインと異なることもあり、きちんと理解して使用するのには一定のハードルがあるように感じられます。

Techivation M-Clarity レゾナンスサプレッサーのレビュー


Techivation M-Loudener ラウドネス強化プラグインのレビュー



Techivation T-De-Esser Pro 周波数帯域ディエッサープラグインのレビュー



Techivation T-Imager MS処理によるステレオイメージャーのレビュー





Techivation T-Puncher トランジェントシェイパーのレビュー



Techivation T-Warmer サチュレーションプラグインのレビュー



Techivation T-Exciter エキサイタープラグインのレビュー



Techivation T-Clarity スレッショルドによるマルチバンドコンプレッサーのレビュー


Techivation T-Clarityはマルチバンドコンプレッサーのように低から中音域をターゲットにした周波数帯域に対してリダクションを行うオーディオプロセッサーです。

あなたの時間は貴重であり、オーディオの問題を解決するために何時間も無駄にしたくありません。クリーンな中音域を実現することは、難しいことではありますが、必要不可欠なことです。T-Clarityのシンプルさと効率性により、中低域の強化に時間と労力を費やす必要がなくなります。T-Clarityは、どんな音も素早くクリアに、スムーズに、心地よくします。



後続の似た名前のM-Clarityとの差分が気になるところですが、大分操作性も性格も異なります。M-Clarityが周波数を設定して、レゾナンスを抑制するのに対し、T-Clarityは中央のノブがメーターになっており、ノブを左に回すことによって、スレッショルドでメーターの入力値に引っかかるようにすることで作動するというまさにマルチバンドコンプレッサーのように作動します。どれくらい素早く作動してリダクションするかを決定するSharpnessやIntensity等共通する部分も多いのですが、周波数帯域が細かく選べず、4つの帯域と限定されています。また、リダクションされた成分のみを音で確認するdiff機能やフィルター機能も同様に用意されています。T-Clarityは非常に合理的に設計されていて、シンプルな分速攻で問題となる周波数帯域を抑えるのに大変重宝すると思います。というのは、まずスレッショルドを設定した後、diffのオンにして、周波数帯域が4ボタンになっているのでそれぞれ押しながら、高速で、問題の箇所を探せて、音の削り具合もちょうど良いところを探せるという業務上での使用を考えた際にシンプルならではの強みがあると思います。また、音の処理も相変わらず滑らか等で非常に使い勝手の良いプラグインの一つだと思いますね。




Techivation T-Compressor シリアルコンプレッサーのレビュー


まとめ・評価


まず、注意して欲しいのはTechivationのプラグインはそれぞれのプラグインの想定された目的のために設計されているため、それぞれ処理が特化しています。そのため、汎用性の高いプラグインもありますが、エフェクトプラグインの領域を網羅的にカバーしているプラグインではないので注意してください。そのため、エフェクトバンドルをいくつか持っていて一通りの環境が用意されている人がピンポイントである用途のために強化するためのプラグインだと思います。
プラグイン全体としてみると共通の傾向や質感が感じられ、コンセプトの一貫性が感じられます。ブラインドで聴いてもわかるわかるような共通性があり、これは好みの問題に直結します。例えばリダクションの場合、ざっくりいうならば丸みを帯びているものの音が平坦にならず、加工されてはいるものの解像度がしっかりと保たれタ状態で、エッジが残っているような一貫した性格です。まさに洗練されているという言葉がぴったりですが、適切な量で処理をしないと破綻はないけれども収まりすぎてしまう、当たり障りなくまとまりすぎてしまい素材本来の良さを気づかないうちに奪っていたなんという、精度の高さ故の怖さがあるかもしれないため、全自動ではなく、ある程度の判断力を持った人(あるいは判断しようと努力している人)が使うことで最大限の効果が発揮できるプラグインシリーズだと思いますね。

また、基本的に、サウンドが曇らず、ディストーションや歪のない状態で処理をするというのが一貫されています。そのため、処理が繊細な一方で積極的に音を破壊的にディストーションする様な傾向はあまりないので、ジャンルによってはさほどプラスにならない可能性もあります。一方で、クールジャズやシティ系のスタイル、その他、それぞれのオーディオソースを活かすような、サウンド全般に対し、良いパフォーマンスをする可能性があるプラグインだと思います。