【Review】sonible「smart:reverb 2」レビュー(AIリバーブプラグイン・新機能・使い方・他社製品との比較・評価)





メーカーによる一次情報

主な特徴

  • 複数のトラックに渡る深度ステージングを容易にするプラグイン間通信
  • AI処理によるカスタムリバーブ
  • ルーム、ホール、スプリング、プレートリバーブをシームレスにブラウジングできるリバーブマトリックス
  • グループモード: 1つのスペース、複数のトラック 

プラグイン間通信機能を搭載したsmart:reverb 2は、複数のプラグインインスタンスをリアルタイムで連携させ、共有音響空間における音源の配置をこれまで以上に容易にします。インテリジェントな処理により、明瞭性とコントロールを自動的に維持しながら、直感的な深度ステージングを単一のウィンドウから実現します。この機能は、複雑なミックスにおけるリバーブの挙動を再定義し、新しいサウンドアイデアをスムーズに試行錯誤することを可能にします  
 
。 

smart:reverb の最初のバージョンでは、ソースアダプティブリバーブが導入されました。これは、オーディオ素材を分析し、音の質感とダイナミクスの両方にマッチするリバーブ特性を構築する機能です。一般的なプリセットの代わりに、ユーザーは自然にフィットするリバーブを利用できます。バージョン2では、この機能が拡張され、包括的でコンテンツに応じたアプローチへと進化しました。処理も大幅に改善され、より直感的に操作できる機能も追加されました。
 
新しいパラメーターは、名前だけではありません 。

smart:reverb 2では、sonibleはリバーブの内部動作を反映する従来のパラメータ(Decay TimeやPre-Delayなど)を再考し、知覚に基づいた相乗効果を生み出しました。smart:reverb 2の主なコントロール(Distance、Size、Width、Color、Clarity)により、ユーザーはアナログ回路ではなく、音楽的な好みに合わせて最適な設定を行うことができます。


4つのスタイル、1つのマトリックス、そして無限のオプション 

smart:reverb 2は、コンテンツアウェア分析を用いてリバーブの周波数特性がソース信号に完璧に一致するように調整しながら、空間特性を自由にコントロールできます。リバーブマトリックスでは、ルーム、ホール、プレート、スプリングの4種類の定番リバーブタイプを直感的に操作できます。2Dインターフェースを使用することで、複数のスタイルをブレンドし、クリエイティブな意図に正確に沿ったリバーブを作成できます。
 
ミックスと並行して考えるワークフロー

smart:reverb 2は、ユーザーのクリエイティブプロセスにシームレスに適応するインテリジェントなワークフローを実現します。直感的な知覚に基づくコントロールで音響空間を定義し、その環境内に複数の音源を配置し、AI駆動型処理によってミックス全体の明瞭性と統一性を維持できます。クリエイティブな調整を行うと、プラグインが自動的に空間の整合性を確保し、全体的な音質を損なうことなく、探求と創造性を可能にします。このインテリジェントな処理とユーザーコントロールの統合により、複雑なミキシングタスクが効率化され、smart:reverb 2は現代のオーディオ制作に欠かせないツールとなっています。

特徴
クロスチャネル通信:トラック間で複数のリバーブインスタンスを調整し、単一のウィンドウからクリアでまとまりのある空間ミックスを実現します。
自動リバーブアンマスキング:密度の高いセッションでも明瞭性と空間の完全性を自動的に維持します。
コンテンツ認識型リバーブ設計: AI が各ソースの特性に合わせてリバーブをカスタマイズし、信号ソースとミックスに自然にフィットします。
知覚ベースのパラメータ:音楽的直感で距離、サイズ、幅、色、明瞭度をコントロールできます。
リバーブ マトリックス:ルーム、ホール、プレート、スプリング タイプをシームレスにブレンドして、カスタム キャラクターを作成できます。


その他詳細は公式ページも確認見てください。





新機能について


バージョンアップの変更点について以下公式サイトより引用しています。

グループモードで共有音響空間を作成する
最もエキサイティングな追加機能の一つはグループモードです。この機能により、複数のsmart:reverb 2インスタンスがリアルタイムで相互に通信できるようになり、6つのトラックまたはバスにまたがる一貫した音響空間を定義し、維持することが可能になります。緻密なオーケストラスコアでも、広々としたアンビエントミックスでも、グループモードならすべての要素が自然にフィットします。しかも、すべて1つのウィンドウから操作できます。距離グリッドを使えば、奥行きのステージングが極めて簡単かつ直感的になります。トラックを前面または背面に配置するだけで、思い描いた通りのセットアップが完成します。

聴いて理解するリバーブ
smart:reverbは、ソースオーディオに基づいてカスタマイズされたレスポンスを生成する最初のリバーブプラグインでした。バージョン2では、この技術が強化され、包括的なコンテンツ認識エンジンへと拡張されました。その結果、雑然としたり濁ったりすることなく、ミックスにシームレスに溶け込むリバーブが実現しました。

創造の自由のための直感的なコントロール
ディケイタイムやプリディレイといったアナログ回路を模倣したパラメータはもう必要ありません。この革新的なツールには、これらのパラメータは一切ありません。smart:reverb 2は、距離、サイズ、幅、色、明瞭度といった知覚に基づいたコントロールを導入し、技術的な観点ではなく音楽的な観点から、アーティスティックな判断を下せるようになります。回路図ではなく、実際に聴いた音に合わせて空間を形作りましょう。

より多くのスタイル。より深み。より多くの個性。
新しいリバーブマトリックスは、リバーブの空間特性を触覚的にコントロールできます。滑らかな2Dインターフェースで、ルーム、ホール、プレート、スプリングの各タイプを自由にブレンドし、あなただけのリバーブトーンを作りましょう。

最新のワークフロー向けに構築
smart:reverb 2は、あなたの作業スタイルに適応します。スマートな機能により、バックグラウンドで常に明瞭性と統一性を確保し、創造性に集中できます。サウンドデザイン、音楽ミキシング、映像に合わせたスコアリングなど、smart:reverb 2はあなたと共に考え続けます。

まず、ここでごく簡単に変更点についてまとめることにしましょう。
最も大きい新機能はマルチトラックの連携によりリバーブインスタンスの相互作用による相対的なトラック間の調整ができるようになったことです。これはsmart:eq 4で実装されたクロスチャンネルと同様にトラックごとにプラグインをインサートして、一つのプラグイン内でそれぞれのトラックのインスタンスを操作できるようになっています。また、それぞれのトラックの信号のマスキングや周波数の重なりをもとに調整をするsource adaptionパラメータがあり、値の量によって、抑制作用の度合いを調整することができます。

また、AIによる自動調整を行うプロファイルが増えました。バージョン1では一般的なオーディオ全般のUniversalの他ドラム、スネア、ギター、キー、ボーカル、スピーチのプロファイル合計8種類のみが用意されていました。バージョン2ではさらに拡張され、ギター、キーはアコースティックあるいはエレクトリックがそれぞれ選択できるようになり、ボーカルも高音、低音の選択ができるなどプロファイルがより具体的細かく当てはめることができるようになりました。シンセ(ベース、リード、パッド、ポリシンセ)やストリングス(4ストリングス)も追加。

バージョンアップについての批評・考察


このバージョンアップデートはいわゆる一般的なプラグインのアップデートと比較してやや特殊といえるでしょう。
まず、指摘すべきバージョンアップの重要な転換点として挙げておきたいのはsmart:reverbとsmart:reverb  2は単なる機能追加と強化のアップデートではなく、コンセプトの一新あるいは再設計ともいえる大きな機能の変更がみられる点です。オーディオを分析してプロファイルを適用するという流れや空間の音響特性をモーフィングできるという点は共通しているものの、バージョン2は仮想空間内での距離感や位置を設定できるようになり、バージョン1では人工的、自然、豊かなど抽象的な空間の特性のモーフィングだったのに対し、バージョン2ではホールやルームなど具体的な空間のモーフィングに置き換わりました。(バージョン1の操作をすることはできないということです。)また、画面右を中心にパラメータが全く異なる機能に。


バージョン1では所謂アルゴリズミックリバーブのようなパラメータが多く用意されていました。リバーブタイムやプリディレイの設定だけでなく、ディケイ、スピード、深さなどの変化をを折れ線で細かく設定することでリバーブの所謂膨らみと減衰を正確に微調整することが可能でした。また、周波数ごとのディケイタイムも調整できまさにリバーブデザイナーといったところ。筆者もこの細かく調整できる職人的かつ直感的な操作を気に入っていました。

バージョン2ではこのリバーブのアルゴリズミックなパラメータが大胆にも姿を消し、代わりに周波数(3バンド)ごとのリバーブ成分を数字で設定し、周波数ごとのリバーブのバランスを設定できるように。リバーブの継続時間は画面右端の時間を左右に動かして設定可能。また、リバーブテイルのカットオフは右に秒で表示されモーフィングパッドのパラメータの操作とともにリアルタイムで更新されます。


そして、トラックごとにプラグインをインサートし、それぞれのインスタンスをプラグイン内で追加するとこのようにモーフィングパッドとステレオコントロールにインスタンスが表示されます。非常に良い設計となっている点を挙げるならば、それぞれの画面上のインスタンスを選択すると、画面が全てそのインスタンスのパラメータ設定に切り替わる点。つまり、それぞれのインサートされているプラグインを閉じて開いて触らなくて良いわけです。この画面は楽器ごとにモーフィングパッド上でリバーブの空間の音響特性を設定できます。ドラムはルーム風にピアノはホール風にといったことができるわけですね。また、楽器の前景、後景の位置関係を画面中央のステレオフィールド内で位置調整ができる。ストリングスはバックで薄っすらなってほしい、ベースは前にといったことができる。また、それぞれのポイントの横に線分図のように伸びているのを見てピンとくるかもしれませんが、これを上下にマウスドラッグすることでステレオ幅を調整できるという。Widthノブまでマウスを動かさなくて良いわけですね。


また、面白いことにバージョン1にもリバーブを無限に伸ばすInfiniteモードがありましたが、なんとバージョン2ではリバースリバーブモードが登場。非現実的なサウンドデザインの世界にも足を踏み入れていてシネマティックなリバーブを作ることもできます。ノーマルとリバースの複合のバウンスというモードもあります。


他社製品との比較


リバーブをAIにより最適化して濁りのない最適なセッティングしてくれるリバーブを比較対象とします。(ほかにもダッキングによる適応的なリバーブの調整などリバーブの濁りを回避する手法は色々ありますね。)
アンマスキング処理を想定したリバーブアシスタントが搭載されたリバーブとしてiZotope「Neoverb」があるのでこれを例に簡単に比較してみましょう。こちらはプロファイルではなくリバーブのスタイルを設定してパラメータを自動設定するリバーブ。リアル、ドラマティックといった感覚的な雰囲気からリバーブの特徴を指定できます。
オーディオ信号を分析して、設定が終わるとリフレクションズ、プレート、ホールの3種類のリバーブをブレンドできるようになっています。


Neoverbはここまでみるとおにぎり型のかわいらしい見た目ですが、拡張画面を開くと、しっかりそれぞれの細かいリバーブパラメータをアルゴリズミックに設定することが可能。
smart:reverb 2とそもそも設計が異なるので単純な比較にあまり意味はありませんが、(クロスチャンネル機能はそもそも独自機能なので比較には出しません。)Nerverbはどちらかというとsmart:reverbに設計がより近く、アルゴリズミックリバーブのようなクラシックなリバーブも思わせる適度に深みのある聴きなれた響き。smart:reverb 2はあくまでクリアな響きを重視していて興味深いことにsmart:reverb 2のパラメータ設定をあえてできるだけ音が濁るようにあれこれといじってもdeffusion的な複雑さが加わってもなかなか原音を不鮮明に濁らせることが難しい。意地悪く言うとあっさり。リバーブが深くかかっているのに原音が自然にくっきりと鳴るというオーディオ的な違和感はないものの不思議な感覚です。
Neoverbなら簡単です。SpaceやTimeを少しいじればすぐにお風呂状態を実現することができます。何を言いたいかというとsmart:reverb 2はどちらかというとサステインや所謂余韻を操作するものの原音のアタックは割とそのままクリアに維持されます。内部で自動設定されて制御されている部分が大きく勝手に最適化してくれるようです。逆に言うとヴィンテージ風のリバーブサウンドを作るようには適していません。Nerverbはむしろ一般的ななじみのあるリバーブと傾向の似たオーソドックスなリバーブをアシスタントで良い具合に初期設定してくれるリバーブという印象です。(リリースされた時代というのも関係していますが、現代の技術基準で言うとリバーブ機能自体が革新的というよりもアシスタント機能がより革新性を感じます。(この手のAI機能が増えてきた今でも一定の優秀なアルゴリズムに感じます。当時の水準だとやはり最先端を行っていたと思いますね。))リバーブ操作に慣れている人はそれぞれのリバーブのパラメータが柔軟に調整できることもあり長く使えるリバーブでしょう。複雑な操作を必要としない人向けにこれらの細かな機能をアドバンス機能としてメイン画面に表示していない点も上手い設計だと思います。

評価

まず、アップデートにより、バージョン1と比較して格段に内部アルゴリズムに依存して操作する場面が多くなったと言えます。バージョン1も確かにAIでオーディオの特性とプロファイルを参照して、リバーブパラメータを自動調整できる点や、リバーブの特性をモーフィングという感覚的な操作で響きを質感を調整できる点が非常に直感的でした。しかし、そこにとどまらず、リバーブのディケイや密度の調整が細かく設定できたのでより良いリバーブづくりに追い込みをかけることができました。バージョン2になるとそういったリバーブの細かな時間等の数的パラメータをバッサリとそぎ落として実際の空間をモーフィングしたり、周波数ごとにリバーブのバランスを調整したり、音源の距離感を調整するなど全く異なるアプローチが採用されました。パラメータが全く異なるので実際のところ操作する上でどういった違いなのか出てくるのかというのを単純に比較するのはやはり難しいですが、リバーブタイムを揃えてその他共通パラメータをできるだけ一致させた状態で、オーディオ分析の提案で出てくるパラメータ設定の結果を比較してみると明らかに全体的な響きの傾向が異なります。(そもそもパラメータが同一でないのですが、パラメータをいじってもなかなかすぐに同一の傾向の響きに合わせるのが難しいと感じたので有意な差であると感じております。)バージョン2の方が全体的に、(モーフィングパラメータの性質の影響もあるかもしれませんが)非調整時に、より現実空間の響きに近く、響きが透き通ってのびやかです。リバーブが有機的とでも言っておきましょう。しかし、これは良し悪しの問題に帰結するのではなくそもそも別物のリバーブでありアルゴリズムの差がもたらしているとも言えます。比較した時に一つの傾向として感じたこととしてはバージョン1はバージョン2と比較して複雑で深い(リバーブタイムの話ではなく音響特性の話です。)リバーブが得られやすく、こちらも捨てがたい魅力があります。単に機能改善と考えるのは少々強引だと思います。この要因としては技術革新の影響やプラグインの目指す着地点の違いというところも大きいでしょう。このプラグインの進化でもあり真価でもあるのはやはり複数のトラックを制御するクロスチャンネル機能だと思います。リバーブはそもそも単一のトラックよりもむしろミックス全体の文脈で語られるのはいうまでもないですが、マスキングやトラック間のミックスバランスを考えるうえで実際にそれぞれのトラックが一貫した空間に配置しているように聴こえるかどうかというのを一つの画面でそれぞれのトラックの空間的バランスを調整できるのは画期的。仕組みが画期的なのは間違いないですが、実際使ってみるとアコースティックの配置であっても自然に聴こえる空間配置が簡単にできるので少し驚きました。楽器が埋もれないだけでなく、空間に一貫性があり、スペクトラルシェイピングの量も調整できるため、そこまで神経質に設定しなくても良い塩梅で楽器や音源を配置できて過剰な分離間もあまり感じられません。バージョン1の機能を一新するに値するほどには非常に良く設計された機能だと考えます。また、変わったところではリバースエフェクトをかけたりもできるので、前述のように響きのバランスを細かく制御した上でプログレッシブなサウンドを模索したりすることもできる。総じて、リバーブに慣れていない方にとってもより使いやすいプラグインとなりましたが、プロユースとして考えても合理的で無駄がない設計なので恩恵がうけられるプラグインだと思います。筆者はバージョン1を気に入って多用しておりましたが、バージョン2の複数トラックの制御は現状他社製品でもなかなか代替えの効かない機能でもあり、別製品に生まれ変わったと錯覚させるほどです。総合的にみるとバージョン1以上に評価ができる製品だと思います。

セール情報

発売を記念したセールが実施されています。アップグレードも用意されています。アップグレードがセールになることは多くないようなので所有している方はとりあえず新しいバージョンがどのようなものか要チェックかもしれません。無料試用もできます。



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smart:reverbのレビュー

バージョン1(販売終了しています)時のレビューをそのまま残しておきました。比較用に参考になるかもしれません。

メーカー情報

smart:reverbは、入力マテリアルの個々の特性に合わせて処理を調整することにより、カスタムメイドのリバーブを提供し、ナビゲート可能な範囲のスタイルを最初から作成します。ワンクリックで、smart:reverbはソース素材をすばやく分析し、すべてのリバーブを最初から作成します。リバーブを入力信号のスペクトル特性と時間特性にカスタムフィッティングすることにより、共鳴の乱れや濁ったリバーブテールなどの一般的な問題が最初から回避されます。

音響心理学の原則と広範な実践的なミキシングの経験に基づいて設計されたAIベースのコンテンツ認識システムであるsoniblesmart:engineは、smart:reverbの内部動作を強化します。smart:compおよびsmart:EQ 2と同様に、このインテリジェントプラグインには、smart:engineの処理を入力信号にプライミングするためのさまざまなオーディオソースのプロファイルが装備されています。



smart:reverbは、完全にパラメーター化可能なリバーブの柔軟性と、コンボリューションリバーブの透明性と音の完全性を組み合わせたハイブリッドプラグインです。オーディオプラグインには、リバーブの時間とプリディレイを変更したり、リバーブの幅を広げたり、明瞭さを増したり、色を変更したりするオプションがあります。さらに、smart:reverbには、サウンドデザインのためのサウンドレイヤー機能が含まれています。


主な機能
  • わずか数秒でカスタムメイドのリバーブ。
  • さまざまなスタイルのリバーブマトリックス。
  • リバーブの解剖学的構造のインタラクティブな表現。
  • 最大減衰制御のための時間および周波数依存の調整オプション。
  • 適切なサウンドを設計するための時間依存の広がりと密度の制御。
  • サウンドをレイヤー化するためのInfiniteやFreezeなどのクリエイティブな機能。
  • リバーブの幅、色、明瞭さのための信号適応コントロール。
  • EQをプレフィルターして、信号をすばやく整形します。
引用: smart:reverb

機械学習機能

ワンボタンでオーディオ解析が始まります。精度を高めるためのUniversal(オーディオ全般)、ドラム、スネア、ボーカル、ギター等の解析モードが用意されています。どうやら公式でもまず最初に解析するところから始めることを推奨されているとのこと。

というのもこのリバーブかなりいじれるパラメータが結構多いのです。プリセットはなく、オーディオベースの解析からスタートすると使いやすいように設計されています。

機能紹介


画面、右下の折れ線グラフは、ディケイ、スピード、密度を設定できます。右上の画面は周波数帯域と時間軸のグラフの中でディレイタイムを細かく設定できます。画面に映る粒の大きさがリバーブがどの帯域にどの時間に集中しているかリアルタイムで表示します。

折れ線が全て表示されているのでイメージしやすいようになっています。左下のノブはリバーブ時間とプリディレイの設定。フィルターやアンビエント系レイヤー向けのフリーズ機能も搭載されています。

そして、便利なのが、リバーブマトリックス機能。これは、グリット上の[自然]、[人口的]等のサウンドの特徴に合うように前述のパラメータを動かしてくれる大変便利な機能。
また、ステレオ幅やトーンカラー、明瞭度といったリバーブを使う上で必要なパラメータがきっちりと用意されているので最短ルートで理想のサウンドに近づけるのに最適化されています。

評価


もちろん機械学習機能も優れていますが、このリバーブはそれだけでなく、リバーブの絶妙な調整がしやすいのが最大の特徴。プリセットベースだとぴったりな残響の度合いを調整するのに時間がかかりますが、このリバーブの場合解析した後、少しいじるだけで良い塩梅のヴァリエーションに行き着くことができるのが利点。XYパッドは用途に応じてぐりぐり動かすだけで理想のサウンド二近づけることができるのでかなり便利ですね。

また、複数のパラメータを一グラフの集結させている点やリバーブイメージが表示される点も他のリバーブよりわかりやすい仕様になってます。ただパラメータが充実しているので使い慣れている人も満足できるような設計になっています。リバーブの場合トラックにいくつも挿すといったこともないので、機械学習に合っているのか、かなり高精度に提案してくれる印象があります。
創作系エフェクトとして使えそうなものははそこまで多くないので、どちらかというとインストやヴォーカル等、正統派の音楽作りに最適だと思います。iZotopeと同様、しっかりとした好みのミックスを作るためには機械学習のみで終わらせることは難しいですが、リバーブという全体にかけるという性質上、提案された後はEQコンプのように試行錯誤することなしに、ほとんどの場合微調整で済むのがやはり便利です。最初にいろいろプリセットを探すこともないのも便利。(私の環境では主力リバーブになりました。)
とりあえず挿して、解析して、パッドとリバーブ時間をいじるだけで大抵片付くことがほとんどだと思います。


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