ここではSSLの公式プラグインであるSSL Fusionの全ての製品について挙動や性能について詳細に分析レビューしています。SSL Fusion Violet EQ、SSL Fusion HF Compressor、SSL Fusion Transformer、SSL Fusion Vintage Drive、SSL Fusion Stereo Imageの全5製品のレビューです。
実機のアナログアウトボードSSL Fusionについて
まず実機について簡単に公式の情報についてみていきましょう。
以下公式サイトより引用します。
Fusion は、いまのハイブリッドスタジオに向けて生み出された 2U サイズの完全アナログアウトボードです。新たに設計された6つのアナログツールを搭載し、ステレオミックスバスやステムの音色への色付けや重み付け、空間の付加といった機能を、アナログ回路でしか成し得ない柔らかさと繊細さで実現します。
SSL 固有のサウンドは、歴代のスタジオアナログコンソールに搭載されていた、クリアなマイクプリ、クラシックな EQ とダイナミクス、定番となったステレオバスコンプレッサーとリッスンマイクコンプレッサー、そしてサミングバスといった SSL のユニークなアナログプロセッシングツールによって成り立っています。
Fusion は、比類ないサウンドキャラクターと多様に使えるアナログプロセッシングツールセットによって SSL サウンドを新しい時代へと導きます。 ハイブリッドスタジオのオーナーのサウンドパレットを拡張し、また SSL のステレオバスコンプレッサーの最高のパートナーともなります。
SSL は、様々な制作のワークフローを理解し、その流れを加速させるスタジオインテグレーションを実現するための機能と接続性を持つ製品を出し続けています。
Fusion は、スタジオワークに欠かせない基本的な機能群、例えば ±12dB の入力トリムと出力トリム、入力レベルオーバーロードインジケーター、ピークホールドメータリング、3つのカットオフ周波数をセレクトできる3次 ハイパスフィルター、ヴィンテージドライブと HF コンプレッサーに3色 LED によるステータス表示を装備しています。
1セットの XLR コネクターはステレオミックスバスのインサートプロセッシングとして、あるいはミッドサイド回路を通してステレオシグナルのセンターやサイドにコンプレッサーや EQ を通すことができます。ステレオインサート モードでは、インサートポイントはヴァイオレット EQ の手前にも切り替えでき、MS モード (Mid-Side Mode) では インサートポイントはステレオイメージコントロールの手前に入れることができます。入出力コネクターは XLR となっています。
引用終わり
SSL Fusionの実機はオールアナログのアウトボードです。6種類のエフェクトが用意されているのが最大の特徴です。設計としてはSSLコンソールの土台をベースにしながら独自に設計されています。プラグイン版ではこれらのエフェクトをそれぞれ抽出し、5種類の個別のエフェクトとしてリリースされています。以下それぞれのプラグインについてみていきましょう。また、ここでは比較対象としてKiive Audioの「NFuse」のSSLモジュールとそれぞれ比較できるものは比較してみたいと思います。
SSL Fusion Violet EQのレビュー
メーカー製品情報
SSL Fusion Violet EQ プラグインは、SSL Fusion ステレオ アウトボード ハードウェア プロセッサからの 2 バンド シェルビング EQ をエミュレートします。Violet EQ は、25 年以上ぶりの新しいソリッド ステート ロジック アナログ EQ 回路であり、SSL の遺産と遺産を利用して、細心の注意を払って選択された一連の周波数ポイントと応答曲線を提供し、信じられないほど使いやすい直感的で音楽的な EQ を形成します。 – 今すぐ DAW に!
新しい「FAT」ボタンと並んで、HPF がオンになったときにローエンドに微妙なバンプを導入します - SSL Fusion Violet EQ プラグインには組み込みのヘルプもあります。疑問符「?」をクリックするだけです。右下隅の 記号をクリックし、GUI の上にマウスを移動すると、状況に応じたガイダンスと、プラグインとそのコントロールに関する情報が表示されます。また、トラッキングとレコーディング用に設計された低遅延および CPU ユーザー モードにプラグインをドロップする ECO モードも提供します。
特徴
- SSL Fusion Violet EQ プロセッサーをモデルにしています – 25 年以上にわたって最初の新しい SSL アナログ EQ 回路です!
- 慎重に選択された周波数、応答曲線、ゲイン制限により、音楽的で直感的な EQ を素早く簡単に使用できます。
- すべてのゲインと周波数でハードウェアの応答曲線を細心の注意を払って一致させるために、何百もの測定が使用されています。
- また、SSL Fusion ハードウェア ユニットのハイパス フィルターも含まれています。
- 4 つの切り替え周波数ポイントと +/- 9 dB の減衰。
- NEW: FAT ボタンは、HPF をオンにすると、ローエンドに微妙な「活力」を追加します。
- SSL プラグイン エンジン上に構築されています。
- NEW: ビルトイン ヘルプ! 「?」をクリックするだけです。各パラメーターの詳細については、記号をクリックして GUI にマウスを合わせます。
- ECO モード: 追跡と記録の目的で、待ち時間と CPU 使用率を削減するために「ECO」モードにドロップします
- オリジナルのアナログ回路設計を参考にした優れた DSP 設計。
- 実際の測定、アナログ回路設計、および SSL Fusion ハードウェアの元のアナログ設計者との緊密なコラボレーションを組み合わせてモデル化され、実際のプロデューサーによって検証されています。
- SSL のクロスプラットフォームのプリセット管理と A/B-ing システム。
- 組み込みの UNDO/REDO サポート。
- 世界クラスのプロデューサーおよびエンジニアである Adrian Hall、Sean Divine、Wez Clarke によるプリセットが付属しています。
考察
2バンドのシェルビングEQ。そのため、細かくアテヌートするよりはなだらかにEQをカットブーストしていくタイプのプラグインです。低域と広域にそれぞれ周波数を設定するしてdBでEQをカットブーストする量をせっていするというなんともシンプルな操作です。
NFuseと比較すると特徴的な違いとしては通しただけでSSLの方は広域が軽くブーストされます。それに対しNFuseは基本的にフラット。負荷はKiive Audioの方が大分軽いようです。また、Kiive Audioのインプットは値を上げていくと低域から高域までローシェルフの形状でうっすらと持ち上がります。
また、EQ特性についても見ていきましょう。どちらもめもりを含めて同じ操作方法(環境によるかもしれませんがNFuseはShiftを押しながら操作して数値入力、SSLの方はパラメータの数値入力に対応しています)ですが、漸次的に確認してもローフィルターは割とどちらも似たような挙動をしていることが確認できます。以下90Hz +9dB 20kHz +9dBの同条件で比較したEQカーブです。赤がNFuse、ピンクがSSL Fusionそれに対し、ハイフィルターはやや形状に大きな違いがみられます。SSLの方が直線的なのが確認できますね。
位相についてもみておきましょう。30Hz 9dBで測定。SSLがピンク。NFuseが赤色です。
SSL Fusion HF Compressorのレビュー
メーカーによる一次情報
SSL Fusion HF Compressor プラグインは、SSL Fusion ステレオ アウトボード ハードウェア プロセッサからの高周波平滑化回路をエミュレートします。このコンプレッサーは、クロスオーバーより上の周波数のみに影響を与え、高周波の丸みを帯びた独特のサウンドを提供します。レシオ、アタック、リリースのすべてが最大限の透明性を得るために最適化されており、スムーズなコンプレッションとテープのような高域のロールオフにより、ミックスや個々のステムで蓄積される不要な耳障りな音を抑えることができます。
オリジナルのハードウェアの機能に加えて、SSL Fusion HF Compressor プラグインには MIX および AUTO GAIN コントロールが導入されており、完璧な量の HF スムージングを調整し、圧縮された周波数に自動メイクアップ ゲインを適用することができます。ゲイン リダクション グラフ、メーター、およびオリジナル ハードウェアの回路アクティビティ LED からのフィードバックと組み合わせることで、耳障りな音をすばやく調整することが簡単にできます。SSL Fusion HF Compressor プラグインは、トラッキングとレコーディング用の ECO モードに加えて、SSL プラグイン エンジンの新しい機能であるビルトイン ヘルプも導入しています。疑問符「?」をクリックするだけです。右下隅の 記号をクリックし、GUI の上にマウスを移動すると、状況に応じたガイダンスと、プラグインとそのコントロールに関する情報が表示されます。
特徴
- SSL Fusion HF Compressor プロセッサーをモデルにしています。
- プラグイン形式で利用できるようになったため、すべてのトラックだけでなく、ミックス バスやマスター バスでも使用できます。
- もろい高周波を調整するためのアナログスタイルの HF 丸めを実現
- ボーカルから歯擦音を取り除き、エレクトリック ギターを落ち着かせ、ドラム トラックのシンバルを抑えます
- 非常にシンプルな THRESHOLD と X-OVER コントロールで、すぐに素晴らしい結果を得ることができます
- フードの下で最適化されたレシオ、アタック、リリースにより、最大限の透明性を実現
- MIX コントロールは、完璧な量の HF スムージングを非破壊的に調整するのに役立ちます
- AUTO GAIN は高域に自動メイクアップ ゲインを適用します。より極端な設定でドラムに使用してみてください。クリスピーなシンバルを維持しながら荒々しさを抑えます。
- Gain Reduction History グラフと Gain Reduction メーターにより、回路の効果を簡単に視覚化できます。
- …または、従来のハードウェア LED を使用して、回路が起動していることを確認します
- LISTEN を使用して、圧縮されて信号から除去される歯擦音の周波数をソロにします
- SSL プラグイン エンジン上に構築
- NEW: ビルトイン ヘルプ! 「?」をクリックするだけです。各パラメーターの詳細については、シンボルを GUI にマウスオーバーしてください。
- ECO モード: 追跡と記録の目的で、待ち時間と CPU 使用率を削減するために「ECO」モードにドロップします
- オリジナルのアナログ回路設計を参考にした優れた DSP 設計
- 実際の測定、アナログ回路設計、および SSL Fusion ハードウェアのオリジナルのアナログ設計者との緊密な協力を組み合わせてモデル化され、実際のプロデューサーによって検証されています。
- SSL のクロスプラットフォームのプリセット管理と A/B-ing システム
- 組み込みの UNDO/REDO サポート
- 世界クラスのプロデューサーおよびエンジニアのエイドリアン・ホール、シーザー・エドモンズ、ショーン・ディバインによるプリセットが付属
SSL Fusion HF Compressorについての考察
SSL Fusion HF Compressorは少しどういったプラグインなのかつかみにくいプラグインかもしれません。ハイフリーケンシーコンプレッサーということで基本的に高域をターゲットに処理が行われるプラグインで高域のギラギラとした音を丸みのある音に変えるプラグインです。(非常にざっくり言ってます。)なので通常のコンプレッサーとは使い方が異なります。
Trimは文字通りデジタルの入力出力量をそのまま操作するので、EQ特性が変化したりといったことはありません。後、コンプレッサーのリダクションを表すメータだけでなくコンプレッションにより失われる信号だけを聞くことのできるListen機能が優秀です。これはわかってますね。
ぱっと見で考えるプラグイン像とはだいぶ異なるプラグインで思った以上に検証が必要なプラグインといえるでしょう。コンプレッサーとありますが、実際はEQとしての性格も非常に色濃い、複雑な挙動で処理されるプラグインです。まずスレッショルドとありますが、いわゆるコンプレッサーの閾値だけでなく大きくEQカーブの形状も変化します。スレッショルド-3dB、X-Over -6dBで測定したEQ特性が以下のようにになります。以下SSL FusionのMix量は違いがわかりやすいように100%に設定しています。後述のようにMix量に応じて周波数特性などに変化が起きるので実は重要なパラメータです。
倍音特性も非常にパラメータ設定によって複雑な動きをします。デフォルトからスレッショルドをあげていくと高次倍音が少しずつ加わっていきます。また、X-Overの値を高域に上げることで干渉される周波数帯域を狭めるにつれてその領域のそれぞれの倍音の値のみがターゲットになり高くなっていきます。
SSL Fusion Stereo Imageのレビュー
SSL Fusion Stereo Image プラグインは、SSL Fusion ステレオ アウトボード ハードウェア プロセッサのミッドサイド処理回路をモデルにしています。この真のアナログ回路は、ステレオ信号を 2 つのチャネルに分離する技術を利用しています。中央の音 (M) の合計 (L+R) と左右の音 (S) の差信号 (LR) です。 ) WIDTH コントロールを使用して、ステレオ イメージを狭めたり広げたりすることができます。SPACE 回路は、ステレオ シャッフルの概念に基づいた周波数依存の幅コントロールで、ミックスに興味深い深み効果を挿入できます。今あなたのDAWで!
SSL Fusion Stereo Image は、SPACE 回路の周波数カットオフを変更するための真新しい SHUFFLE コントロールを公開し、組み込みの極性サンプル ベクトルスコープを使用して信号のステレオ フィールドを洞察し、簡単にステレオ フィールドを試聴できるようにします。これを SSL Plug-in Engine A/B 機能と組み合わせると、SSL フュージョン ステレオ イメージがミックスにもたらす違いを聞くことができます。
特徴
- SSL Fusion Stereo Image プロセッサをモデルにしています。
- 1931 年に EMI エンジニアの Alan Blumlein が現代のステレオを発明したことにルーツを持つコンセプト、Stereo Shuffle に基づいています。
- WIDTH コントロールを使用すると、サイド信号のレベルを上げて、ステレオ イメージを狭めたり広げたりすることができます。
- SPACE コントロールを使用すると、サイド信号の幅広い低音域のブーストまたはカットを試すことができます。
- SHUFFLE パラメーターを使用すると、SPACE 回路の周波数カットオフをさらに微調整できます。
- 極サンプル プロットのベクトル スコープを使用して、信号のステレオ イメージを可視化します。
- SOLO SIDE を使用すると、信号のステレオ成分を簡単に試聴できます。
- 「M/S」トグルを使用して、入力および出力メーターをミッドサイド・サイド・モードに簡単にドロップします。
- SSL プラグイン エンジン上に構築されています。
- オリジナルのアナログ回路設計を参考にした優れた DSP 設計。
- 実際の測定、アナログ回路設計、および SSL FUSION ハードウェアのオリジナルのアナログ設計者との緊密な協力を組み合わせてモデル化されています。
- SSL のクロスプラットフォームのプリセット管理と A/B-ing システム。
- 組み込みの UNDO/REDO サポート。
- Adrian Hall、Alan Moulder、Caesar Edmunds、Charlie Holmes、Michael Brauer、Romesh Dodangoda、Sean Divine など、ワールドクラスのプロデューサーやエンジニアによるプリセットが搭載されています。
SSL Fusion Stereo Imageの考察
アルゴリズムとしてはSpaceの入力信号のみのカットオフを調整するShuffle機能がかなり大きな違いで余計なMS処理により音がぼやけるのを防いでくれます。実はこの有無がNFuseとの大きな差にもなっていて40HzのShuffleあたりの設定で比較してみると方向性としてはどちらのプラグインも似ていることは事実ですが、(実際似ています)同じパラメータ設定でもSpace処理においてSSLの方が原音に近く、コーラスのような不必要な明瞭度が下がるといったことを避けられているように感じます。これはWidthでもどうようで、NFuseよりもSSLの方が、低域の不必要な強調がなく、非常に明瞭に調整することが可能になっています。細かく調整するのであれば、SSLのImagerの方が使いやすいように考えられます。また、アナライザーがついているのも良いところです。また、これは他のMS処理系のステレオイメージャーの多くの製品にも共通することだと思いますが、単に音像を広げたいという場合、もちろんこのプラグインでも広げすぎると音がステレオコーラスのような非現実的な音になります。むしろ他の種類のプラグインと組み合わせて他の方法で広げる方が良い結果をもたらします。そういったこともあり、絶妙な広がりとShuffleで調整できるというオプションは結構差別化されていると思います。
SSL Fusion Vintage Driveのレビュー
メーカーの一次情報
SSL Fusion Vintage Drive プラグインは、SSL の高い評価を得ているSSL Fusionステレオ アウトボード ハードウェア プロセッサの Vintage Drive プロセッサのデジタル エミュレーションです。SSL Fusion Vintage Drive プラグインは、ビンテージ ハードウェアをアナログ スイート スポットにドライブすることを連想させる、穏やかなハーモニック サチュレーションとソフト コンプレッションを生成するように設計されており、トラック、グループ、ミックス、マスターに有機的なアナログ フィールを追加するための必需品です。
SSL Fusion Vintage Drive は、簡単な操作で素晴らしい新しいオプションをいくつか提供します。MIX コントロールを使用して完璧な量のビンテージ ドライブを調整し、AUTO GAIN 機能を使用して、ミックス レベルに破壊的な影響を与えずに信号をドライブし、まったく新しいECO モードを使用して、プラグインをゼロ レイテンシーにドロップし、CPU を削減します。追跡および記録中に使用するための操作。
特徴
- 待望の SSL Fusion Vintage Drive セクションをモデルにしています。
- 独自の非線形サチュレーション回路により、ミックスに強度とまとまりが追加されます。
- DENSITY と DRIVE が相互作用して、ハーモニクス、ソフト クリッピング、自然な圧縮を生成します。
- アナログ コンソールを音色のスイート スポットに押し込むことをエミュレートします。
- 元の信号と並行してブレンドするための MIX コントロール。
- DRIVE、DENSITY、INPUT TRIM コントロールによって導入されたゲインを自動的に考慮する AUTO GAIN – ミックス レベルに破壊的な影響を与えることなく、アナログ ドライブを導入します。
- SSL プラグイン エンジン上に構築されています。
- オリジナルのアナログ回路設計を参考にした優れた DSP 設計。
- 実際の測定、アナログ回路設計、および SSL FUSION ハードウェアのオリジナルのアナログ設計者との緊密な協力を組み合わせてモデル化されています。
- NEW: ECO モードは、アプリケーションの追跡と記録のために、プラグインをゼロ レイテンシー & 低 CPU モードに落とします。
- SSL のクロスプラットフォームのプリセット管理と A/B-ing システム。
- 組み込みの UNDO/REDO サポート。
- Adrian Hall、Alan Moulder、Caesar Edmunds、Charlie Holmes、Michael Brauer、Romesh Dodangoda、Sean Divine、Wez Clarke など、世界クラスのプロデューサーやエンジニアによるプリセットが搭載されています。
考察
SSL Fusion Vintage Driveは非線形のサチュレーションプラグイン。SSL Fusion Transformerがハイとローなのに対し、こちらは全体のサウンドを変えるプラグインです。挙動も全く異なります。そして、NFuseと大分挙動が異なるプラグインです。まず圧倒的な有意な違いとしてみられるのはEQ特性の違い、NFuseは基本的にパラメータ2つのコントロールでもEQ特性は変わらないのに対し、SSL Fusion Vintage Driveは豪快に変化します。
Drive 1dB Density 5dBで比較。ピンクがSSL。Densityを操作すると深みといったように低域が複雑な動きで持ち上がります。
DensityDrive 1dB Density 10dBにすると以下のようになります。
SSL Fusion Transformerのレビュー
メーカーの一次情報
SSL Fusion Transformerプラグインは、Fusionの切り替え可能なSSLTransformer回路をエミュレートします。600オーム、1:1巻線のアンダーダンピングトランスは、信号にローエンドの厚みとハイエンドの光沢をもたらし、回路の駆動によってもたらされるLF飽和と周波数位相シフトの結果として微妙な重さを与えます。SHINEを使用してHF位相とEQ効果を増強または除去し、AMOUNTを上げて高調波歪みを増幅します。両方のコントロールを使用して、元の回路を超えた効果を増幅することができます。MIXコントロールを使用すると、元の信号とブレンドして、完璧な量のトランスフォーマーモジョをダイヤルできます。
動的なLFロールオフ(つまり、トランス回路を駆動するときに発生する自然なローエンドロールオフ)をバイパスするLF EXTENDに加えて、トラッキングとレコーディングのための追加のローエンド「oomph」およびECOモードを実現します。 、SSL FusionTransformerプラグインには組み込みのヘルプも含まれています。疑問符「?」をクリックするだけです。右下隅にある記号とGUIの上にマウスを置くと、プラグインとそのコントロールに関するコンテキスト認識ガイダンスと情報が表示されます。
特徴
- SSL FusionTransformer回路をモデルにしています
- プラグイン形式で利用できるようになったため、ミックスバスやマスターバスだけでなく、すべてのトラックで使用できます。
- 信号にアナログの重さを追加します
- SHINEを使用すると、トランスによって導入されたハイエンドの光沢と繊細な高周波位相シフトを増強または除去できます
- AMOUNTパラメータを使用して、元のハードウェアの効果を超えて高調波歪みを増幅できます。
- MIXコントロールは、完璧な量の処理を非破壊的にダイヤルするのに役立ちます
- 回路をより強く駆動すると、入力レベルとともに増加する自然なローエンドロールオフが導入されます
- LF EXTENDは、低周波数のロールオフを切り替えて、重量のあるローエンドを維持します
- SSLプラグインエンジン上に構築されています。
- NEW:組み込みのヘルプ!「?」をクリックするだけです 各パラメータの詳細については、GUIに記号とマウスを合わせてください。
- ECOモード:トラッキングと記録の目的で、レイテンシーとCPU使用量を削減するために「ECO」モードにドロップします
- 元のアナログ回路設計を参照した優れたDSP設計
- 実際の測定、アナログ回路設計、およびSSL Fusionハードウェアの元のアナログ設計者との緊密なコラボレーションの組み合わせを使用してモデル化され、実際のプロデューサーによって検証されています
- SSLのクロスプラットフォームプリセット管理およびA / B-ingシステム
- 組み込みのUNDO / REDOサポート
- 世界クラスのプロデューサーおよびエンジニアであるRomeshDodangoda、Sean Divine、WezClarkeのプリセットが付属しています。
SSL Fusion Transformerについての考察
倍音付加のサチュレーション系プラグイン。低域と高域を強化し持ち上げることができます。動作としては、Shineで高域の16000kHzあたりを頂点にブーストします。厚みのあるローエンドとありますが、EQ処理ではなく倍音付加の方式で低域に加わります。これは音で聞くと大分大きな変化として耳で感じられます。キックを太くするなどにもよさそうです。EQとは異なり、割とナチュラルに持ち上がる印象があります。また、通すだけでデフォルトで低域がなだらかにカットされていることがわかります。さらにLF Extendボタンを押すとこの勾配がさらになだらかになります。これは上述の信号の付加との組み合わせで設計されているわけですね。Amountは倍音付加の機能です。周波数特性には影響がありません。
ちなみにNFuseにはモジュールとは独立して、16000kHzあたりをブーストするDriveスイッチが用意されています。これは関連があるかもしれません。
比較用
Amountを増やしていくと高次倍音まで少しづつ加わることがわかります。Shineを組み合わせると上述の帯域の倍音が強調されて増えます。
おすすめのSSL Fusionプラグイン
はじめに断っておくのはあらゆるプラグインにおいて万人にお勧めできるプラグインなどありません。環境によってニーズも違うでしょう。ただし実際にどれが良いのか知りたいという声もいくらか聞いていて適宜回答したりと一定の需要がありそうですのでので一応ここではそういった類の内容を記載しておいた方が参考になるかと思いこのコーナーを設けました。ここではむしろ競合製品や他のプラグインを比較した際に特異なプラグインをピックアップすることにしましょう。まず、筆者が全てを比較して最も珍しく感じたのはSSL Fusion HF Compressor。優劣の話ではなく面白いと感じたものです。この中で最も個性的なのはSSL Fusion HF Compressorでしょう。性能としても注目に値するもので、複雑な処理をするプラグインではあるので独自の処理を求めている人にとってはチェックしてみる価値があると思います。なお他の大量のプラグインを踏まえた上での印象ですので、ほとんどプラグインが手元にない場合だとまた話は変わってくるかもしれません。高域を抑えるといった少し特化されたプラグインなので汎用性とはまた違うタイプだと思いますし。
SSL Fusion Violet EQ は良し悪しの問題ではなくそもそものプラグインの性格からしても初めての方のファーストチョイスではないと思います。NFuseと処理の雰囲気レベルとしては比較的近いかもしれません。(差がやや地味?)こちらで設定の出来るパラメータを同条件にして耳で比較してみても違いはわかるもののさほど大きな差は感じられないかもしれません。上述の位相の違いは留意する必要があります。SSL Fusion TransformerはシンプルながらもNFuseにはない機能がついています。SSL Fusion Transformerはダンスミュージックなどに使われそうな高域低域を強調するプラグインなのでわかりやすい効果が得られるプラグインかもしれません。すぐに力が欲しい方向けでしょうか。これは雑な印象ですが、SSL Vintage Driveよりも所謂音を強化したいときにはわかりやすい効果があると思います。
Steleo Imagerは上述の比較にあったように微調整が効くので一定の差別化がみられるプラグインだと思います。SSL Fusion Vintage Driveはそもそものアルゴリズムが異なるので差が大きいと思います。大きく音のキャラクターを変えたい場合にはこちらの方が軍配があがるかもしれません。シンプルで使いやすいというのもありますが、地味(?)ながらも微妙なステレオイメージャーの違いやコントロールを試す方にとっては見ておきたいものではあると思います。
まとめ・評価
Solid State LogicのSSL Fusionはまさに公式プラグインということになるわけですが、機能と性能という物差しで他社製品と比較してみるとまた新たな観点で評価することができます。ここまでの比較でわかることとしてはSSL Fusionを構成するモジュールごとに大分大きな差があったりなかったりするということです。総じてSSLの方がパラメータが多いことも多くSSLだけの比較に限って言うならばやはりEQカーブなどの微妙な調整ができたり柔軟性のあるコントロールができるということは言えると思います。また、例えばEQに関してはさほど大きな違いはないと考える人もいるかもしれませんが、やはりVintage DriveはNFuseと比較しても根本的な設計アルゴリズムに違いがみられました。また、SSLのプラグインにしかついていない機能によって大きな差がみられるものもありました。例を挙げるとすれば、Mixノブの有無というのはかなりミキシングにおいて重要になってくるかもしません。エフェクト信号のパラレル処理という手もありますが、やはりそのままプラグイン内で調整できるのは魅力的です。(例えばNFuseの場合それぞれのエフェクト信号の量を変える場合大量のインスタンスを立ち上げる必要があります。)また、SSLの場合内蔵のMix量によって周波数特性なども変わるのでもちろん処理も異なります。そういった意味でもやはり別物といえます。また、検証の中で感じられるのはMix量のコントロールが非常に重要なプラグインだと思います。
一方でSSL Fusionはプラグインが独立しており、また、それぞれのプラグインで周波数特性や倍音特性をデフォルトで備えているというところも大きな違いです。そのため、トータルで考えるならばそもそも別物といっても過言ではありません。同じ美意識のもとに同じ方向性で設計されている以上、全てを揃えることは一定の意味があることは確かですが、単独でも何ら問題がありません。全ての製品を揃えるのも良いですが、必要なものだけ取り入れることができるというのも選択肢の一つとして考えられるそれぞれが完結したプラグインシリーズだと思いますね。
セール情報と最安値
単品の最安値は24ドル。また、今年になって全製品バンドルのお得なバンドルが登場しました。こちらの方がまとめて入手する場合これまでの割引を踏まえても破格かもしれません。セール頻度は年1,2回程度でしたのでチェックしてみて下さい。