【Review】MeldaProduction「PowerBrass」レビュー(ブラス音源・機能と使い方・評価)


メーカーによる製品の一次情報

オーケストラのパワーハウス
PowerBrass は、フルブラスオーケストラの荘厳なサウンドを指先で再現できるように設計された究極のバーチャル楽器です。プロの作曲家、趣味のミュージシャン、音楽プロデューサーなど、誰にとっても、PowerBrass は軽量でありながら強力なサンプル セットで、比類のないブラス シミュレーション体験を提供します。


早く始めよう

PowerBrass は、トランペット、トロンボーン、フレンチホルン、チューバなど、本物の音を捉えるために細心の注意を払ってサンプリングされた幅広い楽器を提供するアンサンブルです。コンパクトでありながら豊富なサンプルライブラリにより、過剰なディスク容量を占有することなく高品質のサウンドを実現します。各楽器の微妙なニュアンスを保ちながら、自然でダイナミックな金管楽器の音を出すために慎重に録音および編集されています。PowerBrass は、控えめなハードウェア設定でもスムーズに動作するように設計されており、リアルタイムの演奏と最小限の CPU 使用を保証します。


アーティキュレーション

PowerBrass は、スムーズなレガートから鮮明なスタッカートまで、さまざまなアーティキュレーションを提供し、あらゆる音楽的アイデアを完璧に表現できます。ライブ パフォーマンス中に、キーボードの低音キーを使用して、アーティキュレーションをすばやく切り替えることができます。複数のアーティキュレーションを同時に有効にすることもできます。PowerBrass はアーティキュレーションごとに独立したピッチとボリュームを提供し、非常に簡単にレイヤリングできます。さらに、すべてのアーティキュレーションで詳細なエンベロープ設定にアクセスできます。


創造力を働かせよう

PowerBrass の「クリエイティブ タブ」は、まったく新しいサウンドの世界を開きます。コンボリューションを使用して、金管楽器セクションをシンセサイザーのように鳴らすことができます。周波数変調が利用可能で、倍音を制御し、適切な拡散を適用できます。非常に多用途で、結果は自然と人工の素晴らしいブレンドです。



FXセクション

エフェクト プラグインに煩わされる必要はありません。サウンドを仕上げるために、PowerBrass には 5 種類のルームとホール、および高度なディレイを提供する独自のリバーブがあります。エフェクト セクションには、5 バンド EQ、モーション FX、ディストーション、コーラス、モジュレーション、LoFi も含まれています。どんなに抵抗しようとしても、創造性が刺激されるはずです。


一部無料

MSoundFactory または MSoundFactoryLE をすでにお持ちの場合は、PowerBrass は完全に無料でダウンロードできます。MSoundFactory 内のインストーラー ページを開いて選択するだけです。また、MSoundFactory の無料バージョンである MSoundFactory Player を使用して別途購入することもできます。最新バージョンにアップデートされていることを確認してください。





システム要件
ウィンドウズ

Windows 8 / 10 / 11 (64ビット)
VST / VST3 / AAX 互換ホスト (64 ビット)
SSE2 をサポートする Intel/AMD プロセッサ
macOS

macOS 10.14以降(64ビット)
VST / VST3 / AU / AAX互換ホスト
SSE2 をサポートする Intel/AMD/M1 プロセッサ
ネイティブApple Silicon ARM CPUサポート

その他詳しい内容は製品ページも確認してみてください。
公式サイトはこちら。


機能と使い方

MeldaProduction「PowerBrass」はオーケストラブラス音源。容量は数百メガバイトと非常に軽量です。メイン画面はブラスの音色を作っていくための根幹といえどの楽器を使用するかをタブで選択可能。フルブラスの他ミュート付きもできます。アーティキュレーション奏法の選択(キースイッチに対応。)と音色の明るさ等を調整可能。この機能がエフェクト屋(?)さんとして特に力のあるメーカーだけに便利でアーティキュレーションの激しさやステレオコントロール(Stage Spreadとあるようにオーケストラの配置を意識したパンニングということでアルゴリズムも独特だと思います。)、音色の明度など複数の音色の制御に直結する具体的なパラメータが用意されています。そのため思ったイメージの音色が作りやすいといえます。鳴らしている音を重音にするハーモナイズ機能も搭載。


アーティキュレーションのコントロールは特にMeldaProductionらしいとも言え、アーティキュレーションのADSRなどのパラメータを数値で細かくコントロールすることが可能。アーティキュレーションの設定の他、それぞれのアーティキュレーションをロードすることもできるようになっており、必要なアーティキュレーションの名前をクリックすることでON、OFFを切り替えることが出来ます。つまり、アーティキュレーションをレイヤー化することも可能です。ロードもすぐ行われるためこの仕様は低容量ならではの利点とも言えます。


エフェクトセクションはもはや説明不要かもしれませんが、MeldaProductionならではのなんでも搭載といった姿勢が見られます。(とはいってもUIのエフェクトセクションからわかるようにブラス音源に使う可能性のあるものがピックアップされています。クリエイティブな使用ですが使用意図を想定して設計されています。)ハイブリッドブラスサウンドのためのシンセブラスの音色をミックスしたり、FM合成、リバーブなど。FXではモジュレーション系などより飛び道具系のエフェクトが見られます。

評価

PowerStringsのブラス版といったところです。ストリングス音源でみられた特長とウィークポイントが概ねこの製品にも当てはまるといったところ。まず前提としてサンプル数が多い音源ではないので数100GBを超えるようなブラスサウンドを期待する音源ではそもそもありません。音色としてはシンセの音ではなく「本物の音を捉えるために細心の注意を払ってサンプリングされた」とあるようにしっかりと一定のブラスの迫力は捉えられているとは思いますが(少なくともエピック感は出ていると思います)、3桁代のブラスと比べるとやはりサンプル数の制約というものは聴いていて感じます。そもそもサンプルの数によるリアリティの追求というのはこの製品の設計において本質的ではないと考えているのだと思います。あくまで素材というスタンスかと思いますね。
この音源の強みとしてはシンセ的にブラスサウンドを柔軟に自分のミックスに合うサウンドに調整できるというところ。メイン画面のエフェクトセクションなどにみられる音色を楽曲に合うようにすぐに調整できるといったところはやはり便利だと思います。筆者としてはこの音源の真価はやはりエフェクトセクションの様々なエフェクトと組み合わせて新しい音色を作れるといったとところだと感じます。MSoundFactoryのエンジン自体の機能が(所有しているエディションによっては制限がかかります)非常に強力でエフェクトマトリックス上で好きなようにエフェクトをルーティング出来たりするわけなので、従来のブラスサウンドを超えた音色を作ることが出来るわけですね。なお筆者の個人的な感触としてはPowerStringsの方が音色を魔改造しやすくより創造的だと考えます。というのもブラスの持つ音色の性格よりもストリングスの方が素材としてみた時によりオーガニックなので、シンセサイズした際の真新しさといえる化学反応がより面白いと感じます。まあこれは製品の評価というよりも製品の根本的な性格によると思いますが。後はプリセットが非常に充実していてハイブリットブラスから通常のブラスまで色々揃っているので参考になります。
総じて容量の軽さと音色の制御のしやすさといったところで使いやすさはあり、とりわけシンセサイザーのようにサウンドをいじるのが好きな人にとっては非常に面白いと感じる音源だと思います。


セール情報


MeldaProductionはリリース時が最も安くなることが多いメーカーです。また、MSoundFactoryとMSoundFactoryLEにはPowerBrassに加えこれまでリリースされた音源及び今後リリースされる製品も無料でもらえるので、複数導入予定のある人は単品よりも上に2つのライブラリを導入する方がお得かもしれません。
公式サイトはこちら。