【Review】Plugin Alliance「Brainworx bx_XL V3」レビュー(マスタリングリミッタープラグイン・機能と使い方・V2との挙動の違いについての分析と考察・評価・セール情報)


製品情報

大音量でクリアなマスターのためのミッド/サイドリミッター
音量を最大化し、明瞭性を維持する

bx_XL V3 は、マスタリング エンジニアが明瞭度を犠牲にすることなく大音量のミックスを実現できるようにします。Brainworx の画期的な bx_digital EQ のミッド/サイド テクノロジーを利用すると、ミッド チャンネルを 2 つのバンド (低域と高域) に分割できます。これにより、ミッド ロー、ミッド ハイ、サイドの 3 つの個別チャンネルを制御できるようになり、音量が上がり、アーティファクトが減り、パンチが増し、明瞭度が大幅に向上します。


4つのリミッターの威力を聞く

クロスオーバー周波数スライダーを使用すると、中低域の終了と中高域の開始を定義できます。これにより、キックドラムを分離し、中域信号の残りの部分とは異なる制限を適用できます。これは、ダンス、ラップ、テクノ、ロックなど、強力な低域を必要とするミックスに不可欠なテクニックです。bx_XL V3 の 3 つのチャンネルがステレオ信号に再び結合された後、ミックスは真のピーク リミッターを通過します。これは 4 段階の制限を意味し、大音量で非常にクリアなステレオ ミックスを実現します。

XLサチュレーションでミックスを温める

XL ノブは、3 次および 5 次倍音を導入することで、ミックスに暖かさを加えます。特殊なフィルタリング プロセスによりエイリアシングが防止され、ミックスにアーティファクトが含まれなくなります。この追加の倍音成分により、音楽の出力レベルを大幅に上げることなく、知覚される音量が強化されます。

細部まで聞く

Phase-X クロスオーバー フィルターを使用した位相補正によりミッド/サイド信号を個別に試聴できる初のミッド/サイド マスタリング リミッターである bx_XL V2 の伝統を受け継いだ V3 には、3 バンドの「心理音響」ラウドネス マキシマイザーとさまざまな詳細なマスタリング メーターが含まれており、最高レベルのダイナミクスおよびラウドネス コントロール システムとなっています。



特徴
トゥルーピークリミッター
デュアルバンドミッド/サイド処理
4つの制限段階
調整可能なクロスオーバー周波数
高度なBrainworx UI
モノメーカー
サイドチェーン回路
トゥルーピーク、RMS、ゲインリダクション、LUFS、相関メーター

詳しい製品内容は製品ページも併せて確認してみてください。

Plugin Alliance「Brainworx bx_XL V3」の機能と使い方

Plugin Alliance「Brainworx bx_XL V3」はマスタリング対応のリミッタープラグイン。Brainworx bx_XL V2のアップグレード版という位置づけではありますが、別のプラグインです。最大の特徴は4つのリミッターが搭載されていてMS処理により周波数をミッドとサイドに分離して、ミッド信号は2つの帯域に分離してそれぞれのリミッターにより処理し、最後にトゥルーピークリミッターによってリミッティングすることができるということ。Mid Lo Mid Hiとあるようにまず、ミッド チャンネルを 2 つのバンド (低域と高域) に分割します。どの箇所で分割するかをリミッター画面下のクロスオーバーポイントで設定。つまり周波数のそれぞれのトーンバランスもここで調整することが出来るわけですね。それぞれのリミッターの設定は操作性も良く大変シンプルです。ゲインを持ち上げてスレッショルドを設定するのはメーターで行います。そのためミッドサイドのバランスなどもここで調整できるわけですね。(ゲインコントロールをリミッターで行うのになれている人には結構便利なところでもあります。)サイド信号も同様。また、XLノブはサチュレーションコントロールで3 次および 5 次倍音を導入することで、ミックスに倍音の効果を与えることが可能。そしてこれらのパラメータ3つの設定はグローバルパラメータによって一括操作できるという便利機能付きです。それぞれのリミッターはバイパススイッチもあるので使うものだけオンにすることも可能。画面右下のトゥルーピークリミッターはシーリングなどの設定は基本的なものですが、モードもクラシックとモダンの2パターン用意されています。マスタリングということでLR、MSのレベリングも出来るようになっています。


またXL V2にもみられたプラグインの任意の信号及び外部信号を2つ設定してサイドチェーンをかけられる機能も健在です。また、トラックの特定の信号を聞くソロモードもついていて音質の変化の確認に非常に役立つ機能がしっかりと備わっている点は前作の良いところをしっかりと踏襲しています。
メーターがかなり充実しており、一連の測定法の選択はもちろんですが、オーディオのLR、MSバランスなども一画面で確認できるようになっているのはなかなか優秀です。MSのパンコントロールも用意されています。


MS処理が出来るリミッターかつ2バンドのマルチバンドリミッターということで非常に細かい処理ができるようになっているのはV2の時と同様で強みでもありますが、ここで気になるのがBrainworx bx_XL V2との違いですが、だいぶ異なります。まず、機能面から言えば、メーター機能が強化されてまさにマスタリングで必要とされる情報が得られるようになったのはおおきいところといえます。数値の測定だけでなくMSやステレオのバランスまで確認できるようになったのは非常に良いアップグレードといえます。また、性能面について言及するのならば、音質の改善があげられるでしょう。デフォルトのひずみ特性を計測してみるとわかるようにBrainworx bx_XL V2に対し、Brainworx bx_XL V3は歪みが大幅に減少し、まさに文字通りマスタリングに適した設計になったといえます。また、リミッティングアルゴリズム自体も変更がみられると思います。ゲインをそろえて確認してみると明らかな音質の違いがみられ、全体的に音が立体感を持つようにリミッティングされるようになったことは明らかだと思います。総じて視覚的な面も良くなっていることは確かですが、それ以上に音質の問題がより向上している点も見逃せず、非常に優先度の高い便利なリミッタープラグインとなっていると感じます。


セール情報

発売記念価格として比較的大きめに割引されています。