【Review】Audio Blast「BreadSlicer Pro」レビュー(オーディオ入力を瞬時にスライスし、リアルタイムで並び替えるクリエイティブなグリッチエフェクトプラグイン・無料版との比較・使い方・評価・セール情報)

Audio Blast「Bread Slicer Pro」レビュー(オーディオ入力を瞬時にスライスし、リアルタイムで並び替えるクリエイティブなグリッチエフェクトプラグイン・無料版との比較・使い方・評価・セール情報)


製品情報

BreadSlicer Proは、クリエイティブなグリッチエフェクトツールです。「ACTIVE」ボタンを押すだけで、オーディオ入力がスライスされ、即座にブレーク、ロール、グリッチに変換されます。テンポに同期したBreadSlicer Proは、カットされたスライスをリアルタイムで置き換えて、ランダムに並べ替えます。


リバース、FX、PAN、PITCH、およびROLLノブは、ランダムアルゴリズムによって制御されます。これらのノブの値を増やすと、エフェクトのアクティブ化中にスライスにいつでもこれらのパラメーターをランダムに適用する機会が増えます。

プラグインがエフェクトとして任意のトラックでアクティブになっている場合、またはリターントラックでも、オーディオ入力信号をリアルタイムで取得して録音し、フェーダーの「スライスサイズ」で設定したとおりにスライスにカットし、スライスの再生順序を並べ替えます。その後、スライスのテンポが同期され、トリガーされたスライスにエフェクトがランダムに追加されます。

「スライス量」フェーダーを上げると、スライスにエフェクトが適用される可能性が高くなります。「Gate」ノブはグローバルでランダム化できず、再生される各スライスのゲートを定義します。その他のノブを使用して、スライスに適用するエフェクトの量を定義できます。

特徴
  • オートグリッチ
  • ホスト・テンポ同期 (Host Tempo Synchronizes)
  • スライス サイズ(Slice Size)
  • スライス量(Slice Amount)
  • ランダムFX
  • パン
  • ピッチ
  • 転がす
  • 4 統合されたFX
  • リバーブ
  • ビットクラッシャー
  • ハイパスフィルター
  • ピッチFX
その他製品については製品ページも確認してみてください。

Bread Slicer Proと無料版Bread Slicerとの違い

Bread Slicer Proには無料配布されているBread Slicerという無料版のエディションが存在します。メーカーの説明が簡潔にまとめられているので違いを知りたいという方もいるかと思われるので簡単に説明を添えます。
結論をいうとBread Slicerはオートでスライスし、組み替える機能のみがついているバージョンで組み替えるプラグイン。とはいえ、ひとつのスライスの長さ(このエディションでは1/4, 1/8, 1/16のみ。1/16にすると細かく刻まれるので音が細かく&多くなります)とオーディオのゲート機能のみではあるものの、元の信号が別の物に勝手に組み変わってくれるので便利さはあります。これだけでもバリエーションがいくつか得られるので面白さもあります。(UIもシュールで面白い。)入力されているオーディオは波形で表示されます。

UIは3つのパラメータとシンプル。迷うところはありません。

しかしながら、Bread Slicer Proではオートスライスモードではどれくらいスライスをごちゃまぜに組み替えるのかといった頻度を変えられるので元のオーディオをどれくらい別のものに変えるのか調整できます。さらに、オーディオスライスをMIDI信号でトリガーしたり、エフェクトを確率に基づきランダマイズすることによって、スライスされたオーディオにエフェクトを加えることも可能。Bread Slicer Proは無印と異なり、リアルタイムパフォーマンスとして非常に機能が充実しており、単に組み替えて味替わりと提供するだけでなく、積極的にオーディオをDJのようにリアルタイム操作し作品を作るといったところまでできるようになっています。


ちなみにBreadSlicer Proで筆者が最も気になっていたのが、UIが2種類あること。上のUIにみられるようなユーモラスなブレッドスライサーと下の画面にみられるようなラック型のUI。これはプラグイン内でUIを変えることが出来ます。(筆者はじめバージョンが古いものと新しいUIと思っていました。)好みもあるでしょうが、筆者は下の画面の方が見やすい気がします。




BreadSlicer Proの機能と使い方

BreadSlicer Proはエフェクトプラグインとしてトラックにインサートします。するとオーディオ信号がプラグインに入り、波形が表示されます。プラグインには自動的にリアルタイムで入力されるオーディオ信号をスライスし組み替える(インサートするだけでエフェクトがかかり勝手に組み替えられた後のオーディオに変わります)オートスライスとMIDI入力によって、好きなタイミングで任意のスライスポイントをトリガー出来るMIDIスライスモードが用意されています。



スライスされたオーディオのピッチを変える音域の範囲を設定することもできます。



MIDIスライスモードではMIDIキーボードなどのコントローラーの信号をプラグインに入力する(C1~でデフォルトアサインされています)あるいは画面のスライスポイントをクリックすることでその位置のスライスをトリガーすることができます。MIDI入力されたスライスナンバーが点滅するのでわかりやすい。興味深いのは通常のスライサーとことなり、オーディオはリアルタイムで流れてくるのでリアルタイムに組み替えることで面白いパターンを鳴らすことが出来るわけですね。Freeze機能はサンプルスライスにおいて常に録音された同一の小節のみを対象にすることが出来ます。

Sizeではスライスの数を最大16まで設定可能。リアルタイムで変えることもできます。Amountはオートの場合どれくらい組み替えるかといったところ。値が少ないほどマイナーチェンジになります。


エフェクトは確率によるランダマイズを採用しており、どれくらいの頻度でエフェクトがかかるかなどを確率で制御します。ランダムというと心配になるかもしれませんが、このプラグインの場合スライスという単位に基づきエフェクトがかかるのでランダムシーケンスといったところでスライスの拍に基づいたタイミングでかるので極端に不自然なタイミングでかかるといったことは基本ありません。いつかかるかわからないシーケンスエフェクトといった感覚で使うとしっくりきます。CCをノブをクリックしてMIDI Learnからすぐに割り当てられるわけではないのは惜しい。
ゲートは通常のゲートです。リバースでは値を大きくすると頻繁にリバースエフェクトが加わります。ピッチはピッチシフター、パンはトレモロエフェクトが加わります、ロールはスタッター。値を上げるとスタッターが細かくかかります。また、エフェクトではリバーブ、ディストーション、フィルター、テープストップやビブラートなどいわゆるシーケンスやループベースのDJ系マルチエフェクトプラグインにはおなじみのエフェクトが確率制御でかかります。そのため、エフェクトとしても非常に多彩なバリエーションがあります。





評価

筆者は一般的に全自動系のランダマイズプラグインというカテゴリー自体をさほど評価しておらず、ランダマイズするスライサーということで所謂お手軽DJプラグインかと思っていましたが(筆者の場合実際面白そうかもと軽い感覚で購入しました)、想像以上に面白さがあり、使いどころがあるプラグインだと考えます。まずは、ランダムにスライスし組み替えるモードだけでなく、MIDIスライスモードによって特定のスライスポイントを再生できるため、パフォーマンスが人間の手である程度コントロールできるため、表現可能性がある点。また、スライスはリアルタイムのオーディオ入力に対し、リアルタイムで組み替えるので人間の手によって制御するものの予測不能な結果が得られるというところも面白い。また、オートスライスモードでも単にスライスを組み替えるだけでなく、リバースやディストーション、テープストップやDJタイムマニピュレーションを思わせるエフェクトなど他社製品でいえばSugarbites「Looperator」などを想起させるような「クールな」(エフェクトのキャラクターとしては最先端のDJパフォーマンスから考えれば極めて斬新という訳ではありませんが、月並みでもなく十分にセンスの良いものを作れる可能性を感じます。)ちょうどLooperatorのアプローチを変えたプラグインのイメージありますね。

エフェクトがリアルタイムパラメータコントロールでエフェクトの頻度やリバースをどれくらい挟むかといったおおざっぱなキャラクターを変えていけるので、非常に多用途、ランダムとはいうものの機械を自ら操作している感覚に近く、非常に人間的です。ランダムスライスであっても、スライスのAmount量を調整することでどれくらい元のオーディオを組み替えるか微調整できるので(これが微調整が効き結構優秀)、割と良い具合のバランスを見つけやすいですね。良い設定をみつけて設定を固めるというよりはむしろ積極的に動かして、いじっているうちに面白いものが出てきてそのテイクを採用といったように瞬間的な良いエフェクトを見つけるのも良いし、MIDI機能を使用して、リアルタイムでスライスするのもできるため、雰囲気で感覚的にビートを作っていくタイプの人には面白いプラグインかもしれませんね。

セール情報


セール頻度は最近は頻度がそこそこあるメーカーかもしれません。セールの価格としては平均的な価格として29ドルあたりになっていることが多い印象。定期的にセールが行われていることがあるのでチェックしてみてください。