【Review】Techivation「M-Puncher」レビュー(トランジェントシェイパー・使い方・評価)
製品情報
M-Puncher は、深いローエンドの衝撃を伴うパンチの効いたミックスを作成するための鍵です。 ダイナミック リミッティングを使用してトラックのパンチのキャラクターを調整します。レベルのブーストとアタックの倍音の豊かさの間の完璧なバランスを見つけます。 ミッドサイド処理、自動ゲイン、周波数選択分析などの機能が満載されており、ミックスを次のレベルに引き上げるのに最適なツールです。
サウンドを違った方法でヒットさせます
究極のパンチコントロールのためのダイナミックリミッティング
M-Puncher はダイナミック リミッティング機能で際立っており、トラックのパンチを強調する方法を比類のないコントロールで提供します。 単純なレベルの増加、倍音の複雑さの強化、またはその中間のいずれを好む場合でも、M-Puncher を使用すると、好みに合わせてパンチを正確に微調整できます。
ローエンドの衝撃を強化するための高精度のサンプ制御
全体的な音のバランスを維持しながら、トラックのローエンドのインパクトを強調するように細心の注意を払って設計された Thump コントロールでミックスをレベルアップします。
トラックのアタック部分のみに選択的に低音ブーストを適用することで、信号の大部分は影響を受けず、洗練されたバランスの取れたローエンドの強化が保証されます。 音楽のダイナミクスを比類のない制御を可能にするこの高精度ツールを使用して、聴衆を豊かで強力なリスニング体験に浸してください。
精度を解き放つ: 単一信号周波数解析
トラックの必要な要素だけにパンチや衝撃を加えて、サウンド彫刻体験を洗練させます。 攻撃を特定するときにプラグインが分析する必要がある正確な周波数範囲を調整し、ミックスが必要とする場所に強化された影響を集中させます。
詳細は製品ページも確認してみてください。
機能紹介
M-Puncherは特定の周波数帯域でアタックとサステインを検知して処理を行うことが出来るトランジェントシェイパー。
Punchinessはプラグインの処理をどれくらい行うかコントロールする中心となるパラメータで、具体的にはトラックのアタック（トランジェント）のレベルをブーストまたはカットを制御するパラメータ。トランジェントを強調するにはPunchinessを大きくし、穏やかにするには小さくします。Punchinessはこのような処理の特性上信号のピークレベルが上がるため、Limitingで立ち上がったピークにリミッティングをすることが出来るようになっています。。このリミッターはソフトクリップタイプのリミッターでLimiting を上げると、アタック・レベルが抑制され、ハーモニックの豊かさが増します。また、このリミッターはプラグインに入ってくる入力信号レベルとは完全に独立しており、固定スレッショルドを使用していないという点がポイントです。リミッティングはバイパスとエフェクト通過後のボリュームの変化した部分に対して相対的にリミットがかかります。そのため入力信号の大小にかかわらず機能するようになっています。ダイナミックソフトクリッパーとして所謂味付けがされるので例えば、Punchiness が0以下に設定されている場合でもLimitingをするとオーディオのアタック部分にサチュレーションを加えることができます。
Thump コントロールは、オーディオのアタック部分に低音ブーストをかける機能。元のトーンバランスを保ちながら、トラックのローエンドのインパクトを強調することができます。
Thump 上げると、アタックのトーンバランスが低域を強調するようにシフトしますが、アタックのみの処理です。そのため、アタックに重みを加えたいときにも良い機能。ちなみに
Thump はリニアフェイズフィルターを使用しているので位相キャンセルの心配もありません。
また、アタック部分にかかるボリューム・エンベロープのシェーピングはTight Normal Looseの3種類が用意されており、Tightにするとトランジェントにたいして素早く細かくかかります。Looseはざっくり。Normalはその中間diffで確認するとわかるようにTightはアタック部分の頂点の一点だけでなくより細かく複数の信号が強調されます。
周波数帯域の検出範囲は"Punchiness"、"Sustain"、"Thump "コントロールがかかるトラックの特定の部分を正確にターゲットにすることができます。例えば、ドラムキットで低周波数帯域をターゲットにしてキックだけをターゲットにすることもできます。どの帯域で度の信号が検出されているのかを確認するためにはSidechainボタンを押すことで確認することが出来るようになっています。注意したいのが、Detection rangeはあくまで参照するトランジェントの検知であって、その帯域しか処理がおこなわれないという訳ではありません。(検知したトランジェントに基づきその信号全体に作動するのでバランスが崩れないということです。)
また、このプラグインはアタックを強調するだけでなく、アタックを抑えることもできるようになっています。前述の流れでPunchinessを－方向に回すと逆に出過ぎてしまっているアタックを抑えて引っ込めることができます。これはSustainに対しても同様で、余韻の長すぎるサウンドを短くパーカッシブに変えることもできます。
評価
機能がある程度多いものの操作は非常にシンプルであり、トランジェントをどの様に強調するか追い込むことができるツールとして非常に実用的なプラグインとして設計されているように感じます。筆者も様々なトランジェントシェイパーを使用していましたが、操作が直感的でありながらもより良い処理の選択肢を簡単にトライできる非常にバランスが良いプラグインだと思います。(個人的には機能の多いトランジェントシェイパーの中でもトップクラスの使いやすさがあると考えます。)
一般的なトランジェントシェイパーと比べてみると基本的な機能面だけでもdiff機能が非常に便利でトランジェント処理の精度を上げる上で役立つことがわかります。多くのトラックのあるミックスの中でトランジェント処理の変化の違いを正確に判断する上では単に耳で全体を確認するだけでなくdiffがあることで具体的にオーディオのどの部分が変わっているのかモニター出来ることはどんなシチュエーションであってもプラスに働くと思いますね。周波数帯域を設定して、トランジェントの検出ができ、サステインやアタックのどの部分にブーストを加えるかといった処理される信号がリアルタイムで確認出来るので感覚だけでなく、実際に何が行われてるのかを確認しながら操作できるのは他の多くのプラグインと比べてよりこだわって処理が出来る可能性を持っています。また、周波数を絞ってアタックを検出できるので、余分な強調もなく非常に自然にピンポイントにアタックの欲しい部分だけ強調できるようになっています。ミックスの中でサウンドを変えずに(Thump、Sustainなどもあるので変化させることもできます。)浮立たせるという繊細な処理がしやすいトランジェントシェイパーだと思います。例えば、ミックスの中でキックのアタック感を出したいという時にキックの単独トラックだけでなく、ドラムミックスの中でも周波数を絞り込むことによって、正確にキックのトランジェントをターゲットにすることもできるように、複雑なテクスチュアのシンセフレーズでも望むポイントだけトランジェントを強調するといった使い方など、通常のトランジェントシェイパーだと難しい絞り込みができるのもメリットのひとつといえるでしょう。耳で確認する設計意図によりアナライザーがないですが、このプラグインの場合むしろバイパスやdiff等を使いながら細かく微妙な調整を繰り返すことにも適しているのでその機能の必要性を感じないかもしれません。音を不必要に変えずに処理をするといった時に役だつプラグイン。iZotope Neutron 4のTransient Shaperはマルチバンド対応でアナライザーもありますが、あちらと比べてミクロな処理がしやすい印象です。音の性格を大きく変形させるよりも、どちらかというとM-Puncherは細かいポイントに対するピンポイントの処理をするの長けている印象です。
使い方次第ではミックスのトランジェント復活にも使えるかもしれません。また、アタックを強調するだけでなく、控えめにすることもできるのが良いところで耳に刺さるシンセプラックをマイルドにするといった処理もピンポイントに行うことで、通常のEQだと失うところが多い処理を音質を損なうことなく整形できる可能性があるといえるでしょう。
セール情報
リリース時の割引が比較的大きいことが多いのが特徴。また、他製品を持っているとログイン時に特別割引がされることがあるのでチェックしてみてください。
