【Review】sonible「smart:deess」レビュー(AIにより音素をリアルタイムで識別し、歯擦音の種類に応じた高解像度のスペクトル処理を実現する世界初のスペクトラルディエッサー・機能と使い方・評価・セール情報)



【Review】sonible「smart:deess」レビュー(AIにより音素をリアルタイムで識別し、歯擦音の種類に応じた高解像度のスペクトル処理を実現する世界初のスペクトラルディエッサー・機能と使い方・評価)



他のディエッサーは単に音量を下げるだけですが、smart:deess はさらに深くなり、より自然でバランスのとれたサウンドを作り出します。完全にトレーニングされたニューラル ネットワークの力を利用することで、smart:deess はしきい値を設定することなく、音素の正確な開始点と終了点を識別します。また、スペクトル処理を使用して音素全体を処理できる機能のおかげで、古いディエッサーにはもう戻りたくないでしょう。


単一のプラグインで音声録音のディエッシングと破裂音に取り組む
AI処理により素材に合わせて瞬時に設定を調整
「Ess」サウンドは、単に音を下げるだけでなく、完全に形作り、洗練させることができます。


特徴
  • 音素検出と高度なスペクトルディエッシングを組み合わせた世界初のディエッサー。
  • コンテンツを意識したアプローチ
  • 単純に歯擦音と破裂音に対処する
  • Smart:deess は、何をすべきかを決定する前に、1 つの周波数帯域のレベルだけでなく、信号の実際の内容を分析します。チャンネルにプラグインをロードするとすぐに、smart:deess は入力音声信号の「声紋」を構築し、存在する歯擦音と破裂音のバランスを取り始めます。あなたの仕事は、分析をレビューして結果を改良することです。Smart:deess を使用すると、不要なサウンドを修正するのではなく、必要なサウンドを得るために時間を費やすことができます。

 

AIの力

これまで以上に深く見つめる
Smart:deess は、特定の個々の音素 (S、Z、Sh、Ch、T、P…) をリアルタイムで識別し、しきい値を設定することなく、各歯擦音の正確な開始点と終了点を決定します。最も音量の大きい部分だけではなく、歯擦音全体が処理され、最終結果がより自然なサウンドになります。各音素タイプは個別に識別および処理され、「Ess」は「Ch」とは異なる方法で処理され、「Ch」は「T」とは異なる方法で処理されます。その結果、あたかもオリジナルの録音のバランスが単に良くなったかのようです。

スペクトル処理

形を整えて洗練する
他のディエッサーは単なる自動ボリュームコントロールです。Smart:deess には広帯域コンポーネントが含まれていますが、追加のスペクトル処理も利用して、より深いレベルで耳障りなサウンドを形成し、洗練させます。カラーコントロールを使用して歯擦音のキャラクター(ソフト、バランス、またはシャープ)を調整し、エッジを失うことなく希望のバランスを実現します。さらに、smart:deess のスペクトル処理を適用することで、鈍くて舌足らずな歯擦音を復活させ、新しい命を吹き込むことができます。


その他製品情報はこちらを確認してください。
smart:deess

機能と使い方

sonible「smart:deess」は音素検出と高度なスペクトルディエッシングを組み合わせた世界初のディエッサー。最大の特徴のひとつは特定の個々の音素 (S、Z、Sh、Ch、T、P…) をリアルタイムで識別して、シビランスや破裂音ごとに最適化された処理を行うということ。オーディオを解析させた後(そこまで時間はかかりません)設定をいじっていくわけですが、シビランスと破裂音の独立した処理設定が出来てしまうというのも大きなポイントの一つ。アナライザーが充実しており、ゲインリダクションと処理された部分がリアルタイムで表示されるという非常にわかりやすいUIが用意されています。スペクトルのうちリダクションされる周波数が色で表示されます。フルレンジのスペクトル処理の他、シビランスとプロ―シブの周波数帯域の範囲を定義することもでき、余計なリダクションが行われないように微調整が出来るようになっています。さらに、これらの周波数帯域のソロモニタリングや全体のリダクションされた成分をDiffで聴くことも可能になっています。それぞれコンプレッションの強度と、スペクトルシェーピングの度合いをコントロールすることができるようになっています。歯擦音のキャラクター(ソフト、バランス、またはシャープ)も画面下のノブで設定可能。シビランスと破裂音のソロモニターもできるようになっています。注意したいのはここのサプレッションの値。ここの設定を大きく誤ると音質に関わってくると思います。(厳密にいえば、後述のSibilanceとProsiveの周波数帯域の設定もそうなのですが、あちらはデフォルトの値がおおよそ声におけるこれらの周波数の要素の一般的な範囲になっているので微調整で済むのに対し、このパラメータは声質や声色の性格によってある程度変える必要が出てくるからです。)


これらスペクトルの定義とリダクションはリアルタイムで画面右のメーターに表示されるので非常に合理的に設計されているといえます。これら2つのディエッサーにより処理されたリダクションはそれぞれリダクションメーターに表示され、リダクションのゲイン量のリミットも設定できるので、削りすぎを回避することができます。(このように検出されているシビランスと破裂音が並行して右のアナライザーでもリアルタイムで表示されているので帯域のターゲティングの際、うっかりして(?)極端な値を設定することはおそらくありません)




評価

筆者もボーカルのみならず音声も扱うことが多いのですが、非常に革命的なプラグインだと思います。それぞれのシビランスなどのリダクションはAIベースのアルゴリズム依存であり、どれくらい削るか、およびどの周波数帯域にフォーカスするかを設定するプラグインです。アルゴリズム依存ですので内部の動作はブラックボックスなところも多いのですが、追い込みもでき、非常に違和感のない処理ができるプラグインだと思います。このプラグインはこのアルゴリズム設計からみてもわかるようにボーカルやナレーション専用ともいえる声に特化したディエッサーです。(ディエッサーが楽器にも使われることは良く知られていることですが、このプラグインは周波数というオーディオに普遍的なパラメータではなく子音や母音というより限定的なオーディオ要素の検出と処理に特化されているため、他の楽器等には最適化されていないようです。つまりこのプラグインは少なくとも設計上は楽器には使えません。)
UIのアナライザーも大変充実しており、筆者としては非常に使いやすく感じておりますが、一方で誰でも簡単に処理が出来るプラグインというコンセプトはさほど感じられず、割と専門的なユースケース(あるいはディエッサーにある程度使い慣れている人)を想定されているように感じます。プリセットはないようです。また、もちろん設定を極端にすればもちろんスペクトラルコンプレッションによるオーバーコンプレッションの違和感は出ます。しかし、子音と母音それぞれの範囲やゲインリダクションリミットが設定できることもあり、技術が高ければ高いほどディエッサーで潰したような違和感のない処理が出来ると思います。(これはSonibleの特徴ともいえ非常に原音の透明度維持に徹底しており、それが功をなしています。)また最先端のディエッシング技術を使用したプラグインといいますと2023年にリリースされたTechivationによるM-De-Esserもありましたが、比較してみると大分印象が異なります。そもそも設計からパラメータまで異なるので純粋な比較は難しいですが、非常にざっくりというならば、M-De-Esserはより滑らかさを感じさせるディエッサー処理が行われているといった印象です。シビランスの箇所だけでなく、続く全体的なオーディオの文脈に応じて流れを重視して処理が行われています。(それはM-De-EsserにAir等のオプションが用意されていることからもコンセプトが見て取れます。)それに対し、smart:deessは透明感を第一として処理している印象があります。例えていうならば気が付いたらシビランスが消えて取られていた(抑えられていた)といった手品のような感覚です。サッと瞬間的に気が付かぬままに消えていたかのようなさりげなさがあります。

このように用途も性格が異なるので好みの問題も大きいですが、筆者の見解としては音楽はもちろんですが特にナレーションなどの生の声を活かしたい場合等には非常に良い選択肢になると感じています。

また、このメーカーの製品は無料試用もできるので手持ちのディエッサーと比較できるという点も良心的だと思いますね。
smart:deess


セール情報

最安値は65ドル。また、製品所有に応じてさらなる割引が受けられるようです。

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