【Review】Cherry Audio「PS-20」レビュー(モノフォニックシンセサイザーKorg MS-20のエミュレーションプラグイン)

【Review】Cherry Audio「PS-20」レビュー(モノフォニックシンセサイザーKorg MS-20のエミュレーションプラグイン)

製品情報

PS-20は、コルグの有名なMS-20への超リアルでポリフォニックなホットロッドのトリビュートです。何よりもまず、PS-20 のデュアル ハイパス/ローパス フィルターは、MS-20 の有名な卑劣なサウンドを、そのくすんだ叫びのような栄光の中で超正確に再現します。ユニークなフィルターに加えて、MS-20 のもう 1 つの特徴はモジュラー スタイルのパッチ パネルです。Cherry Audio はオリジナルの楽器からパッチパネルを再構成し、すべてのオシレーター、フィルター、VCA に必要な多くのインおよびアウト パッチ ポイントを追加し、オリジナルの紛らわしい用語を修正し、使いやすさを大幅に拡張するいくつかの追加機能を追加しました。
 

インストゥルメントのあらゆる部分が、16 音ポリフォニー、柔軟な CV アウトを備えた独自の 3 レイヤー 8 ステップ シーケンサー、野獣的なディストーション、ステレオ スプレッドを備えたモジュレーション エコーを含む統合エフェクトなどのキラー機能で「強化」されています。 、そして素晴らしいスプリングとプレートのエミュレーションを備えた豊かなデジタルリバーブ。PS-20 はまさに、Cherry Audio がリリースした機器の中で最も風変わりでユニークな機器の 1 つです。時々予測できないフィルターの動作と、パッチ パネルとシーケンサーの驚異的な柔軟性の間には可能性が無限にあり、PS-20 の創造的な「幸せな偶然」指数はまさにチャートから外れています。

特徴
  • 古典的な MS スタイルのハイパスおよびローパス フィルターの超正確なモデリング
  • ランダム音声パンニングを備えた最大 16 音声ポリフォニーが利用可能
  • 10億以上のプリセット
  • 1/2ステップクオンタイザーとテンポ同期を備えた3チャンネル、8ステップシーケンサー
  • シングルキーコードメモリーモード
  • 拡張され簡素化されたフル機能パッチパネル
  • Voltage Modular の先進的な次世代パッチ パネル ケーブル システム
  • ノーマライズされたサイドチェーン入力を備えた外部シグナルプロセッサーセクション
  • バーチャル・インストゥルメントとエフェクト・プラグインのバージョンが含まれています
  • テンポ同期可能なモジュレーションジェネレーター
  • 重厚なリードとベースサウンドのためのユニゾンデチューン
  • MPEのサポート
  • ユーザーが選択できる 4 つのインターフェースのカラーテーマ
  • ディストーション、スタジオ品質のリバーブ、テンポ同期エフェクトを備えたモジュレーションエコー
  • すべてのコントロールに対する完全な MIDI コントロールと DAW オートメーション

機能紹介

Cherry Audio「PS-20」はモノフォニックシンセサイザーKorg MS-20のエミュレーションプラグイン。実機は以下のようになっています。


1978年に発表されたコルグのモノフォニック・シンセサイザー「MS-20」は太く粘りのあるサウンドや、強烈なアナログ・フィルター、自由自在なパッチングを特徴とし、幅広い層から高い評価を得た人気製品でした。
2のオシレータが用意されている点は共通ですが、機能が拡張されているのが特徴。ボイスもモノフォニックではなく16ボイスまで重ねることが可能。(和音が鳴らせます。)他のMoogハードウェアとパラメータ配置等、共通するところも多いので、それらにになれている人は機能が理解しやすいかと思います。一見面喰いそうなUIですが、左側がシンセパラメータが集中しているので、画面左から右に順にノブをいじっていくのがセオリーかと思います。オーバーサンプリングは4Xまで対応。
柔軟な CV 出力を備えた独自の 3 レイヤー&8 ステップのシーケンサーが追加されており、モジュレーションエコーまで搭載されています。


モジュラーはKorg MS-20の代名詞ともいえるものですが、このようにケーブルを配線することによって、セットアップすることができます。ケーブルをドラッグしてつなぎます。モジュラーパッチは拡張されているようです。
プリセットも大量に用意されています。
(細かいパラメータに関する考察は内容が煩雑化しそうなのですが今後追加で執筆するかもしれません)





Arturia Korg MS-20 Vとの比較

ArturiaのKorg MS-20 Vと比較してみましょう。
KORG MS-20 V は、セミモジュラー アーキテクチャと最先端のアップグレードを備えた絶叫オシレーターとフィルターを統合し、サブトラクティブ シンセシスを超えた巨大なバーチャル インストゥルメントを実現します。アナログのダークな側面を探求し、誰にも囚われないマシンの不気味なサウンドにミックスを難なく没入させましょう。震えるようなデチューンのベースライン、きびきびとした共鳴音、うなり声をあげるハードシンクのメロディーが待っています。

当社のエミュレーションをオリジナルと区別できないようにする独自のアナログ モデリング テクノロジー。アナログオシレーター、フィルター、ソフトクリッピングの特性を正確に模倣することで、コンポーネントの驚くほど正確なディテールと本物のアナログの魅力を同等に提供することができます。

こちらも同様にポリフォニック対応で6ボイスまで対応。UIの画面はCherry Audio「PS-20」と比べるとKorgに非常に忠実です。


シーケンサーも搭載されています。




肝心のサウンドですが、誰が聴いてもわかるくらいには大きく異なります。試しにSAW波形のデフォルトを基準音を鳴らして比較してみましょう。他のウェーブでも類似した傾向が見られます。

Cherry Audio「PS-20」


Korg MS-20 V



Arturiaの方はデフォルトで低音部に信号が付加されています。また、高音域に密集するかのように倍音が多く出ております。

まとめ・評価

このようにそもそもの原音が全く異なります。Arturiaの方は低音だけでなく、非常に高音域が強く出ており、ジリジリとしたノイジーなサウンドになっているのが特徴。また、低音も常時出ているため、音に太さが感じられるのが特徴ですが、Cherry Audio「PS-20」と比べるとそういったアナログライクな性格が出ている半面若干抜けが欲しいというシーンもあるかもしれません。Cherry Audio「PS-20」は非常に音がすっきりしており、明るさも感じられ、高音域のざらつきが抑えめなので、クリーンな音が作りやすい傾向があるといえます。音の好みによるところも大きいので何とも言えないですが、純粋なハードなダンスミュージックのぶりぶりとした音をすぐに用意して使いたいのであれば、Korg MS-20 Vの方が適正かもしれません。Cherry Audio「PS-20」はどちらかというと魔改造ともいえる機能の拡張性に注目できるプラグインであり、複雑な音作りで真価を発揮するシンセだと思いますね。また、パラメータの多さもあり、機能が多い分やや上級者向けかもしれません。複雑ではありますが、色々と音をいじりたい人にとっては非常に面白いことができるシンセサイザーといえます。