最強のホンキートンクピアノ(タックピアノ)音源を探してみる【ホンキートンクピアノ音源の比較】


最強のホンキートンクピアノ(タックピアノ)音源を探してみる


ホンキートンクピアノ(タックピアノ)という古い酒場やサロンにおかれていた調律の狂ったアップライトピアノをいろいろ並べて聞き比べながら比較していきたいと思います。ホンキートンクピアノはその成り立ちから戦前のジャズやラグタイムの代名詞ともなっていました。タックピアノは楽器のフェルトで保護されたハンマーが弦をたたく位置に画鋲(タック)、釘が置かれたプリペアードピアノでホンキートンクピアノを喚起させる特殊な楽器です。

ピアノ音源というカテゴリの中ではかなりニッチなジャンルかもしれませんが、(私もそうですが)こだわりたい人はこだわりたい重要な楽器です。そもそもが品質の「悪い」ピアノであるため、何をもって良いとするのか、これは比較することは非常に面白いかと思います。数が少ないのでとりあえず見つかるだけピックアップしていきます。まだあるかもしれないので随時更新していきます。

The Drunken Upright


特徴
  • 2 つの Kontakt パッチ – モノラル & ステレオ
  • 44.1kHz/24bitで425サンプル収録
  • ノートごとに 5 つのベロシティ レイヤー
  • ライブラリには 321MB のディスク容量が必要
  • 2 つの Kontakt パッチ – モノラル & ステレオ
  • プレイするのは信じられないほど楽しい
  • 小型軽量であらゆるシステムで使用可能
  • ビンテージ機材で録音された非常にラフで温かみのあるサウンド
  • ノートごとに 5 つのベロシティ レイヤーがあるため、ソフトからヘビーまで対応
価格は4ドルとかなり安価。321MBと軽量ですが、5ベロシティレイヤーが用意されています。パラメータは大変シンプルなので積極的な音作りはできません。パッチは2種類用意されています。
結構アグレッシブなサウンドですね。一つ目のパッチは歪寸前の暴走するような楽器のサウンド。でも意外に心地よい。ここまで暴れると使いどころが限られそうですが、かなり本格志向で方向性の良いサウンド。二つ目のパッチは汎用性が高い良い塩梅のサウンドですね。

Ivory II Upright Pianos


84GB以上サンプルを収録した、アップライト・ピアノ・インストゥルメント。この有名な音源にも収録されています。下記二つが該当。

•Yamaha U5 Modern Upright
•1914 A.M. Hume Vintage Upright
•Honky Tonk Barroom Upright
•Real Tack Piano

1915 Packard Honky Tonk Barroom Upright


こちらも非常に大きなアメリカン・アップライトですが、Humeに比べより「カラフルな」音色が持ち味です。もちろん、全てオリジナルパーツで構成されています。収録モデルは、米国コメディ・ドラマ『チアーズ』の舞台になったボストンの「Cheers」バーで何年にもわたって使用されてきた、正真正銘「酒場の匂いがする」ピアノです。今回のレコーディングでは、「ホンキートンク」スタイルのチューニングが施されました。

1900’s Tack Piano with Real Tacks




アタックに金属的なノイズが重なっていますが、他のピアノ同様にレコーディングされており、シンセサイザーなどによる編集操作は一切行っていません。収録に際し、ハンマー・フェルト部分にタック(鋲)を差し込んだものが用意され、あえて「完璧ではない」チューニングによる独特の雰囲気を生み出しています。20世紀初頭の米国音楽から、ファンクやロック・サウンドまで幅広く使えるピアノです。
特徴
  • 88キー各鍵盤を、最大16段階のベロシティ・レイヤーで収録。
  • ハーモニック・レゾナンス・モデリング技術による、リアルなストリング・レゾナンス共鳴(打鍵時にすでに押さえている鍵盤の弦が共鳴する現象)。
  • アップライト・ピアノ共鳴板を、DSP処理でモデリング。
  • ハーフ・ペダル表現に対応。
  • ティンバー・シフティング、パラメトリックEQ、シンセ・レイヤーにより、生ピアノを超えた大胆なサウンド・デザインにも対応。
  • Upright Pianosのみ、古いピアノ特有の軋み音、擦り音、叩き音などのCreaks & Clunksレイヤーを用意。
  • キーノイズ(ハンマーが弦にあたる時の音)、調律、ステレオ音像(演奏者側/聴衆側切り替え、広さ調整)、音色などを調整可能。
  • 指が鍵盤から離れる時のリリース音は、ベロシティ、長さによって変化。
  • ペダル・ノイズ、ソフトペダル使用時のサンプルを収録。
聴いてみると思った以上にクリーンでポップスには良いかもしれませんが、ジャズや本格派ヴィンテージサウンドには物足りない気もします。




アダム モンローのホンキー トンク ピアノは、ヴィンテージのチッカリング アップライト ピアノ(正確な年代は不明) から、主にノイマン TLM 102マイクを介してサンプリングされました。ピアノは間違いなく何らかのアクションのように見え、(一度に 1 音ずつ) チューニングすることはできましたが、ピアノの音色は少し「ホンキー」な面がありました。ピアノはモノラルで蓋を開けてクローズマイキングでサンプリングしましたが、ステレオ効果を生み出すために各音を慎重にパンニングしました。AKG D112は低周波をキャプチャするために最初に使用されましたが、TLM 102はそれ自体で十分な仕事をしました。

このピアノを深くサンプリングしようとしましたが (10 ベロシティ レイヤー、2 ノート ラウンド ロビン)、最終的にラウンド ロビンは部分的にしかキャプチャされず、ベロシティの目標は達成されました。どちらか一方だけを録音するほとんどのピアノ ライブラリとは異なり、ピアノはサステイン ペダルを開いた状態と閉じた状態の両方でサンプリングされたため、ライブラリのサイズは大きくなりましたが、演奏中により多くの表現が可能になりました。


* 16 ビット オーディオ サンプル (個別のサステイン サンプル付き)
* 2X ラウンドロビン、10 ベロシティ レイヤー
* リバーブ、コーラス、ディレイ、ローファイ エフェクト
* 44.1、48、88.2、および 96 kHz をサポート

総容量4.2GBとかなり大きめな音源。

メモが記録されると、それらを処理する骨の折れる作業が始まりました。ノイズが取り除かれ、ピアノが eq され、圧縮されました。はい、これは高度に処理されたプラグインです。最終的な結果は、あなたのミックスをカットする非常に強烈でラウドなピアノライブラリです。これは手付かずのきれいなプラグインではなく、ノートは非常に難しいものになる可能性があります! これにより、ホンキートンク スタイルのピアノ演奏のパーカッシブな性質が増していると感じています。VST の最初のリリース以来、ノートをかなりクリーンアップしてきましたが、クリーンアップしすぎると、プラグインのサウンドとフィーリングが損なわれ始めると感じています。
このピアノ プラグインは、サンプリングされたアップライト ピアノの世界で素晴らしいニッチを埋めるため、コレクションに追加するのに最適です。ラグタイム音楽のデモや録音を行う必要がある場合、または一般的にパーカッシブなピアノが必要な場合、この仮想楽器は、VST、AU、または AAX の武器庫の最新メンバーになる準備ができています。
音質もなかなかですが、元の楽器特有の見過ごせないノイズを取り除いたとのこと。雰囲気もしっかり残っていてアタックもしっかりしており、大変使いやすそうですが、若干クリーンになりすぎてる気がしないでもない。

H-Tonk Tack Piano 


H-Tonkは通常のアップライトピアノをハンマーに画鋲で改造して再現したタックピアノです。ラグタイム、寄席、西洋のサルーン ミュージック、珍しいホンキートンクの曲に適しています。Windows 用の VST 32 ビットおよび 64 ビットおよび VST3 64 ビット バージョン、macOS 用の Audio Unit、VST および VST3 でインストゥルメントプラグインとして利用できます。
通常のアップライトピアノを画鋲などを使用し、ホンキートンクピアノに改造して再現したとのこと。
3つのプリセットが用意されています。
  • Tack Piano (88 keys)
  • Western Saloon Piano (88 keys)
  • Jangle Honky Tonk Piano (88 keys)
録音で聴いたようなあの生々しいサウンドが再現されていますね。タッチもしっかりなってくれています。やはりホンキートンクは音像がモノよりの方がリアリティ増します。楽器特有のノイズが入っているところはやや使いどころを選ぶかもしれません。


ARTURIA PIANO V2



こちらは物理モデリングによるピアノコレクション音源。通常のピアノの中にホンキートンクピアノが入っている形になります。

Piano V は、さまざまなピアノの忠実なモデルでいっぱいのスタジオを含むすべての楽器の王様を V Collection にもたらします。さらに、まったく新しいレベルのコントロールのためにピアノのサウンドを形成する機能も備えています。Piano V は、絶賛されたモデリング技術を使用して細心の注意を払って作成された、1 つではなく 12 の異なる世界クラスのピアノを提供します。それらはモデルであるため、幅広い真のピアノを入手できるだけでなく、これまでアクセスできなかったさまざまなコンポーネントや特性を制御できるようになりました。リアリズムの頂点であるピアノを演奏することも、型破りなサウンドで好きなだけ過激になることもできます。用途の広いピアノ V は、あらゆるスタイルの音楽のキーボーディスト、ライター、プロデューサーにとって欠かすことのできない基本的な楽器です。

物理モデリングということで異色な音源ということになります。仮想マイクポジション設定もできます。ホンキートンクピアノを聴いてみると調律の狂った楽器が出す複雑な音響は完全には再現できているようには聴こえないですね。雰囲気は出ているような気がするもののあの強烈でとげとげしい音響を聴き取ることはできませんでした。ただし、棘がないのでポップス向けのエモーショナルなサウンドやオケになじみやすいサウンドにもなっていることも確かで、当たり障りのない小回りの利く音源であるかもしれません。



Wavesfactory The Tack Piano





2010 年に W-Honky をリリースしたとき、同じサウンドを取得してサンプル ライブラリを作成することに夢中になりました。W-Honky には、ラウンド ロビン、ベロシティ レイヤー、リリース サンプルはありませんでした。そこで、2015 年に、リリース サンプル、ラウンド ロビン、ビルトイン エフェクトを含む The Tack の最初のバージョンをリリースしました。Tack Piano はゼロから完全に再サンプリングされ、これまで以上に優れたサウンドを実現し、最高の機能を備えた新しい GUI を備えた完全に本物のタック ピアノとなり、私のようなタック ピアノ ファンの夢が実現しました。音楽、サウンド デザイン、FX のいずれにおいても、Tack Piano は他に類を見ないものであり、あなたのピアノ コレクションに欠かせない存在です。


スペック
  • サイズ: 14.22GB
  • サンプル: 9,118
  • マイク位置: 3 + ミックスダウン
  • 速度レイヤー: 8
  • ラウンド ロビン: 2. 近隣借用で最大 6
容量約14GB、3マイク、レイヤー8とかなりの高スペック。聴いてみると大変クリアなサウンドで歯切れがよい。音の傾向としてはチェンバロにも音色が似ていますね。弦のコマなディテールが鮮明に聞き取れます。音の情報量が多いですね。一方で豪快な雰囲気というよりも細い印象も受けます。きれいすぎるというのでしょうか。ミックスに混ぜる時は使いやすいかもしれません。

まとめ

どの程度音の狂いを求めるか、あるいはどのシーンで使用するのかで評価が割れそうです。H-Tonk Tack Piano が音が絶妙なバランスで。聴き取りやすくシャープ良い感じですね。意外にかなり荒くれものですが、The Drunken Uprightが悪くないと思います。Ivory II Upright Pianosがこの中では意外に通常のアップライトに近い音でした。Wavesfactory The Tack Pianoが全体的な内容としては性能がよさそうですが、音が上手くまとまりすぎているといいますか、ホンキートンクピアノの優等生すぎる印象も受けなくもないです。