【Review】Sound Particles「Energy Panner」レビュー(スレッショルド反応対応型3Dパンナー、機能、他の製品との比較など)

Sound Particles「Energy Panner」レビュー(スレッショルド反応対応型3Dパンナー、機能、他の製品との比較など)

イントロセールというもあるので、初Sound Particles導入しました。Sound Particlesというと映画産業向けにお高く留まっている印象でかなり敷居の高いイメージがありましたが、印象と異なりかなり使いやすかったです。

メーカー情報

Energy Pannerは、音の強さを使用してその動きを制御します。従来のステレオから没入型まで、このプラグインを使用すると、アーティストは手間や追加のルーティングなしで、パンテクニックにダイナミックな深みを加えることができます。Energy Pannerを使用すると、音の強さがパンナーを制御し、音に反応する動きを生み出します。他の多くの動作の中でも、ビートで動くドラム、攻撃時に動くシンセノートを想像してみてください。音楽からオーディオ投稿まで、ステレオからドルビーアトモスまで、EnergyPannerはツールセットに絶対に必要なプラグインです。

 

特徴
  • ステレオ、イマーシブ、バイノーラル出力:ステレオ、7.1、HOAからバイノーラルおよびドルビーアトモスまで、EnergyPannerは仮想マイクテクノロジーに基づいたいくつかの出力オプションを提供します。
  • ダイナミックムーブメント:サウンドの動きを簡単に設定できます。たとえば、スピーカーの位置から中央に移動しますか、それともカスタム位置から時計回りに移動しますか?
  • サイドチェーン:トラックのサウンドを使用する代わりに、外部信号を使用してプラグインの効果を制御します。
  • 視覚化ドーム:プラグインのUIの主要コンポーネントであるドームを介してサウンドが行っているすべての動きを追跡します。
  • ランダム化:アイデアが不足していますか?心配しないでください!Energy Pannerには、クリックするたびに新しい結果を出力するランダム化オプションがあります。
  • 絶対制御: Energy Pannerは、パノラマフィールドでのサウンドの動きを完全に制御するために必要なすべてのオプションを提供します。
引用元
Energy Panner

機能紹介

LRステレオだけでなく、7.1ch等、幅広い規格に対応しています。これはSound Particlesお得意の映画系だけでなくサウンドアートなどにも力を発揮できるような仕様になっています。

このパンナーはパンモードとスライディングモードが用意されています。どちらも入力信号に対し、しきい値を超えた時にトリガーがされるようになっています。
パンモードは通常のパンとは異なるこのプラグインの特徴的なモード。これはしきい値が超えた時入力量に応じて速度や移動量が変化し開始点から終着点に向かってパンが移動するというもの。ワンショットなので入力の減衰に対応して戻っていきます。そのため、パーカッシブな入力に適しています。

ちなみにStartはオリジナルの定位からパンがスタートするスピーカーモードと、画面上仮想ドーム内の定位からスタートするモードがあります。Movementでは同様に元の定位に戻るモードと終着点にたどり着くモードがあります。スピーカーモードにするとLRの2点が動くので設定によってはかなり複雑な軌道を動き回ります。スピーカーモードを使わないと割と軌跡通りに動きます。
LRと書かれたパーティクルが仮想の定位となります。


オレンジ色の画面のスライディングモードは通常のパンナーと似ていて、しきい値に対して入力信号の分だけ軌跡を動きます。パンモードの様に開始点に戻ることはありません。点が止まります。

どちらも開始点と終了地点をドーム状でドラッグして軌跡を変えることができます。ポイントは2点ですが(ステレオの場合、それ以上の規格の場合その分だけポイントが設定されます)、終着点に向けて速度や方向次第で様々な軌跡を設定できるので(曲線自体を描くのではなくスタートとストップポイントを動かします)、軌跡はかなり自由に設定できるのが特徴。(ちょうど磁石に引き寄せられるような滑らかな動きをします)
また、通常(?)の完全な円を描く軌跡もあります。軌跡となる円のサイズも調整できます。基本的に軌跡は曲線です。

また、スレッショルドやRatioの量に応じて入力に対する反応頻度や移動量を変えることができます。基本的にはコンプレッサーと同じ仕組みです。
また、アタックとリリースを調整することで、少しずつ減速など速度調整ができるのでパラメータは一見少なそうに見えますが思った以上にヴァリエーションは豊かです。


サイドチェーンに対応しているので、ドラムの信号で他の音源に動きを入れるといったことも可能。可能性を感じます。

他のプラグインとの比較・評価

3DパンナーというとメジャーどころでいうとWavesの「Brauer Motion」がありますが、あちらはかなりエフェクト性が強く、大変リアルな動きをしますが、空気感や音程の変化を加味しているのか原音とはだいぶ音が変わる印象があります。

「Energy Panner」はかなり仮想空間といったイメージで、実際の自然現象を模倣しているというよりは仮想空間での音の動きの面白さにフォーカスしています。その分自由度がこちらの方が高く音も原音に近い状態で動き回ります。そのためミックス内でのコントロールもしやすいです。立体感の表現は流石いったところ。
また、スレッショルドで制御しているのでかなり音の動きとリンクさせるといった表現も可能で小回りが利くのが特徴。素早いパーカッシブな表現にも適しています。(「Brauer Motion」はどちらかというとゆったりした動きが魅力でアンビエント等空間系で効果的だと思います。)通常のインストやヴォーカル、さらにはパーカッションなどにも使え、使いどころの多さという点ではこちらに軍配が上がります。
持っておくと、例えば、プログレッシブなクリーンギターを穏やかに揺らして、立体感のある定期的なモーションを作るといった用途だけでなく、SFX等、ちょっとしたサウンドに動きをもたらす調味料にもなり素晴らしいですね。